グループ内で発言することが、リーダーになる可能性の向上やステータスの上昇と関連することを示唆する研究は多い。しかし、我々の研究では、現実はもっと複雑であることを示している。ただ発言すればよいのではなく、発言するのは誰であり、何を発言するのかも重要なのだ。また、複数の人が似たような行動を取っているとき、それが男性か女性かによって人々の反応が異なることを示す研究があるが、我々の研究も同じく、女性の場合、発言してアイデアを提示したとしても、同じ行動から男性が得るメリットを得られない可能性があることを示している。

 大切なのは、この研究の目的が、男女を問わずアイデアだけを語り、問題を指摘するのは避けるべきだと示唆することではない点だ。チームが機能し、革新し、学ぶためには、新しいアイデアを生むことと、パフォーマンス向上の妨げになりうるものを見極めることの両方が、極めて重要である。

 我々の研究が示すとおり、発言者に起きる社会的結果は、発言の内容と発言者のジェンダーによって左右される。この研究から得られた結果のパターンが示すのは、グループに対する貢献が男女間で公平に評価されるまでの道のりはまだ長い、ということだ。

 チームにおけるジェンダー平等を実現したいのなら(あるいは、単にチームのメンバーからよいアイデアをできるだけ多く聞きたいのなら)、我々の研究が明らかにした人間の性癖を克服するような、主体的な取り組みが必要である。この結果から読み取れるのは、女性が発言して「リーン・イン」(一歩踏み出す)したとしても、それを男性と同等に評価してもらえない可能性があるということだ。その場合、女性が発言することに加え、周囲が女性の発言にもきちんと耳を傾ける必要がある。

 この課題に取り組む方法の1つは、女性の発言に意識的に注目し、女性から出たアイデアを広く伝えることだ。女性のアイデアを軽んじてしまう傾向があるのだから、バイアスを克服する特別な努力を払う必要がある。また、グループ内で発言するとき、女性は男性よりも発言をさえぎられる頻度が高いため、女性がアイデアを発言しているときは、男性と同等の敬意を払うよう、マネジャーは常に促すべきだろう。

 もう1つの方法は、誰がどんなアイデアを出したのかをリアルタイムで記録することである。シンプルな方法として、ホワイトボードにアイデアを書き出して発案者の名前を添える、アイデア専用のeメール・フォルダを設けてメンバーのアイデアを電子的に保存する、などが考えられる。

 さらに、会議ではマネジャーが女性に必ず意見を求めたり、改善に向けたアイデアを女性から引き出せるよう、やや砕けたシチュエーションを見つけたりすべきだろう。こうした方法は、女性と発言に関するもう1つの長年の課題、すなわち、男女が同席する場面では女性の発言が少なくなる傾向があるという問題に取り組むうえでも、役立つはずだ。こうした対策を講じることで、女性のアイデアを高く評価しているというシグナルを送ることができるうえ、女性が発言した際の結果の公平性を高めることができる。また、女性の貢献を高く評価していることを、女性の従業員に示すこともできるだろう。

 企業だけでなく、医師や弁護士のような専門職や研究者も同様に、ジェンダーにかかわらず、すべての人が同等の敬意を受け、同じ行動を公平に評価されるための方法を模索すべきである。


HBR.ORG原文 Research: Men Get Credit for Voicing Ideas, but Not Problems.  Women Don’t Get Credit for Either, November 02, 2017.

■こちらの記事もおすすめします
オフィス調査で明らかになった、職場における男女間格差の実態
ベンチャー・キャピタルが女性起業家にもっと投資すべき理由
VCsの会話記録が明らかにした、女性起業家への偏見と差別

 

ショーン R. マーティン(Sean R. Martin)
ボストン大学キャロル・スクール・オブ・マネジメント助教授。コーネル大学で経営学博士号を取得。主にリーダーシップと価値観や、この2つが過去と現代でどのくらい影響を受けているかなどを研究している。