たとえばトヨタ自動車は、2015年から、ハイブリットを含めて燃料電池車に関して同社が単独保有している約6000件近い特許の実施権を無償で提供している。特許をオープンにすることで水素自動車の市場拡大を図り、結果として、先行企業の優位性を獲得してきた。しかし最近は、電気自動車の開発にも力を入れている。

「ビッグデータ利用でも、自社で研鑽を積んだ独自の分析技術を深掘りすると同時に、他企業にも役立つ分析技術を公開して普及させるなど、発想を転換することが大きな意味を持ってきます」

 データの公開・秘匿を効果的に行うには、知財権管理も戦略的に組み立てておく必要がある。知財戦略は、経営戦略を支える要素としてその重要性を増しているのだ。

第4次産業革命に対応する
カリキュラムを強化

 棚橋教授が教鞭をとっているK.I.T.虎ノ門大学院は、2004年、金沢工業大学が東京・虎ノ門に開設した社会人大学院である。知的財産、MBA(経営管理)、メディア&エンタテインメント、ITなどの分野で、高い専門性と実践力を持つビジネスパーソンを育成してきた。MIPM(知的財産マネジメント)、あるいはMBAの学位を取得する社会人が虎ノ門キャンパスに集まる。

「経営のわかる知的財産スペシャリスト、実践力のあるMBA人材を育成するために、実践型カリキュラムを充実させてきました。さらに一歩進めて、2018年度は、最先端のAIビジネスとエンジニアリングに関する科目を強化します。まさに、第4次産業革命に対応して本格的な高度情報社会をリードしていける人材の育成を目標に据えて、IoT、AI、ビッグデータ等の専門家を教授陣として招聘する予定です」と棚橋教授は語る。

2020年の東京五輪に向けて再開発が進む虎ノ門キャンパス周辺

 第4次産業革命は、IT志向であり、変化も急激だ。きちんと学ばなければ対応していくことは難しい。K.I.T.虎ノ門大学院のような教育機関を積極的に活用して、日本企業はIT中心に動いていくきっかけをつかみ、「企業戦略としての知財戦略」を考えることのできる人材を育てていかなければいけない。

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