日本と米国で異なる
データ活用のアプローチ

 超高度情報社会においては、いままでつながらなかったものがネットワークを介してつながり、いままで独立・対立関係にあったものが、補完・融合・連携できるようになる。消費者と企業との関係も変わる。「いいものを作って売る」だけでなく、消費者にどうつないでいくかを考え、新しいBtoB、BtoCをデザインしていかなければならない。

 プラットフォーマーの存在感も増大している。

「Google、Apple、Facebook、Amazonなど、米国の大手デジタル事業者は大量のデータを取得し、独占しています。そのサービスプラットフォームは、販売や広告のプラットフォームでもあります。プラットフォーマーが力を持つと共に、多くの産業、そして個々の企業が大きく変わっていきます。これからの超高度情報革命でデータとどのように取り組んでいくか、米国のアプローチと日本のアプローチは大きく異なっています」

 米国では、サイバー空間のデータはもちろん、実空間のリアルデータに至るまで、クラウドに集積され、ネットを通じて流通している。世界中の工場・製品に関わるデータを収集し、AIで評価・分析・利活用することも容易にできる。これに対して日本は、得意とするノウハウやデータは自社グループ内で堅守してきた。

「すべてのものがつながる時代を迎えて、情報共有の範囲は拡大しつつあります。具体的には、他の企業グループとのデータ連携、AIやビッグデータを活用しての自社技術・製品の評価・分析、さらには、プラットフォームで公開されている情報の利用など、情報活用の高度化が進んでいます。ビッグデータの登場、国境を越えたデータ連携の時代は、実は日本の巻き返しのチャンスでもあるのです」

標準化・オープン化と
特殊化を組み合わせる

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図 日本企業がリアルで保有する情報を堅守し、その技術を利活用する流れ

 新たな「高度化競争」の時代に日本企業に求められる技術戦略のポイントは、従来の「特殊化・高品質化」の取り組みと、新たな「標準化・オープン化」の取り組みとの組み合わせ方であると棚橋教授は言う(図)。これまで日本企業の多くは標準化・オープン化に積極性が欠けていたために、コスト競争力を持つことができず、総合電機メーカーなどは世界市場で追い上げられてかつての力を失った。

「もちろん、秘匿してこそ有利な領域は厳然としてあります。一方で、標準化・オープン化したほうが有利な領域もあるのです。独自技術とオープン技術という相反する要素を組み合わせ、かみ合わせ、『何を秘匿して、何をオープンにするか』を的確に判断してすばやく実践していく企業戦略の展開が必要です」と棚橋教授。

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