「way to play」の違いで、
選手も練習法も変わってくる

 日本企業が「成長のための最適化」を実践するうえでのハードルは何ですか。

 主に5つに分類できると思います。私が日本で「成長のための最適化」について話し合う際、もっとも典型的なリアクションは、「コスト削減なら、もうやっている」というものです。

 日本企業はコスト削減について常に何らかの取り組みを行っています。しかしながら、現状に対して一律のコスト削減にとどまるなど、取り組みがバラバラないしは不十分なケースが多いように見受けられます。「競争の原資をいかに確保するか」という視点で議論していくと、シニアマネジメント層ほど「成長のための最適化」についてよく理解していただけます。

 2つ目としては、「どれだけコストが減るのか」という反応が挙げられます。「成長のための最適化」は、個別の手法に目新しさがあるわけではありませんが、大きな戦略に基づいてコスト削減にメリハリをつけ、投資すべきところには投資するという点こそ、成長に向け自社を差別化していくうえで重要なのです。

 自社のケイパビリティを整理し、一旦それを抽象化して、客観的な視点で捉えることが、ゼロベースでコストを評価することにつながります。そうすれば、「いくらコストが減るのか」ではなく、「実際にはどれくらいのコストが必要なのか」、あるいは「(そのケイパビリティを)残すべき理由はあるのか」という根源的な問いが、おのずと発せられるはずです。

 3つ目の反応は、「日本では人員整理が難しいから、大きな変革はできない」というものです。米国などに比べ人員の調整が難しいことは確かですが、人的資源の配分を最適化することはできるはずです。たとえば、チャネル間での人員の再配置や成長に必要なデジタル領域に人員を集中するなど、人をリストラするのではなく、成長のために組織を再設計するという発想に立てば、日本企業にも大きな変革の余地はまだまだあると思います。

 4つ目は、「話はわかるが、うちの会社では誰が取り組むべきかが難しい」というものです。「成長のための最適化」を実現するためには、成長戦略に基づく投資、組織変革、コスト削減を組み合わせて実施する必要がありますが、それぞれを担当する部門ないしは役員がバラバラで、社長も日常業務に忙しく、時間をかけて検討する余裕がないというのです。このようなケースでは、「成長のための最適化」に着手することが、むしろ成長戦略とその道筋について改めて検討するよい機会になることを理解していただきたいと思います。