より細かく識別することで多様なニーズに応えられる

――シェアリングエコノミーをビジネスチャンスと捉える企業は、どのように事業化を考えていくべきですか。 

 2つの戦略があると思います。1つは広域化で、大都市でビジネス化する、あるいは世界中で使えるビジネスにする戦略です。米国の調査によると、ライドシェアサービスやホームシェアサービスの利用者には、大都市とその周辺に住む大卒以上・高収入層が多いことが明らかになっています。つまり、“違いのわかる人”が経済的余裕をもって、消費を楽しんでいる姿が浮き彫りになったのです。さらに言い換えるなら、多くの人が気にしない細かい違いを楽しむ、ある種のオタクが楽しんでいる。ですから、大都市でそういったターゲットに訴求していけば成長の可能性はありそうです。

 もう1つは多角化で、地方都市のシェアリングプラットフォームを担う企業が、対象とする商品・サービスの品目を増やしていく戦略です。クルマだけでなく、自転車、部屋、農機具、クラウドファンディングなど対象品目を広げていけば、取引量が増えて、地方都市でもビジネスが成り立つかもしれません。地方財政が厳しいなか、民間の力で地域を運営していく取り組みの1つとして、シェアリングエコノミーを活用するのです。私はこれを、共同出資・共同購入の仕組みになぞらえ、「生活協同組合2.0」と呼んでいます。

――シェアリングサービス普及のカギを握るのは何ですか。

 ものごとをより細かく捉えていくことが1つのカギです。繰り返しになりますが、シェアリングサービスはより多様な需要に応えるものであり、人々の欲望は減退していないわけです。既存のものやサービスの定義を広げ、より細かく区別・識別していくことで、より効率的に、多様にニーズに応えることが可能になると思います。これを支えるのがデジタル技術です。

 デジタル技術の進展によって、我々はもっといろいろなものをモニタリングし、その要不要を判断することになるでしょう。シェアリングサービスの浸透によって、ある意味、何でも必要に応じて手に入るようになった時に、本当に所有すべきものは何か、所有したいものは何を問われることになるかもしれません。ともあれ、消費者はシェアリングサービスによって、より細かな違いを楽しみ、豊かになれる。そう信じています。

(構成/堀田栄治 撮影/宇佐見利明)