「規模」と「スピード感」がないと成功は難しい

――地方創生の観点からも注目を集めるシェアリングエコノミーですが、海外の先進事例にはどのようなものがありますか。

 世界初のシェアリングシティ宣言を発表した韓国のソウルの事例があります。韓国も日本同様、高齢化に伴う財政問題の悪化が進むなかで、資源の有効活用を主眼として、ソウル市長パク・ウォンスン氏が2012年に「シェアリングシティ・ソウル推進計画」を発表しました。その後、オランダのアムステルダムやイタリアのミラノが続き、日本でもシェアリングエコノミー協会が中心となって、いくつかの地方都市がシェアリングシティ宣言を出していますが、ソウルの取り組みには大きな特徴が見られます。

 ソウルのシェアリングシティは、流行っているからやるとか、海外企業が国内市場を席巻しているから対抗措置としてやるとか、観光客が増えてホテルが足りないから民泊をやるといった個別的な取り組みではなくて、長期の社会ビジョンを見据えた包括的な戦略になっています。主な施策には、シェアリング企業への財政支援、シェアリングカーブランドの認証、空いている公共施設や駐車場、市の備品の市民への貸し出しなどがあります。最初に企業支援とエコシステムづくりに着手し、次に市内25区へ導入、さらに学校教育に取り入れ、今後は国内のほかの都市に横展開を図るなど、段階を踏まえたアプローチは非常に優れています。

 これに対し、日本のシェアリングシティは、小さい地方都市が多いことや、個別の課題解決に向けた対症療法的な取り組みが目立つことが挙げられます。これでは個別最適化は進んでも、より大きな観点で資源活用と社会のあり方を変えるまでには、なかなか至りません。

 シェアリングサービスは基本的に手数料ビジネスだと私は考えています。だとすると、1回の取引に対し、そんなにたくさんの利益を手数料に載せることはできません。したがって取引の量を増やしていく必要がありますから、物理的に狭い範囲でサービスを提供しても、ビジネスとしての採算性は上がらないわけです。ソウルの事例のように、大都市で展開するとか、何十という複数の都市で連携するとか、あるいはすぐに海外展開を図るとか、そのくらいのスピードと規模感を持って取り組まないと、ビジネスとしての成功は難しいのではないでしょうか。