働き方改革とは生産性改革である

 ここ数年、「働き方改革」の大号令がかけられた結果、残業時間の抑制に力を入れる企業が増えている。だが、働く時間をどれほど短くしたところで、仕事のやり方そのものが変わらなければ、それは単にアウトプットの質と量を犠牲にするだけで、競争力の低下を招くばかりであろう。

 労働時間の短縮は目的ではなく手段であり、真に求められるのは生産性の向上である。特に「日本企業の組織生産力指数は平均で92にとどまり、グローバル平均の113を大きく下回る結果となった」とあるように、日本企業にとって、これは最優先で解決すべき課題の一つでもある。そして、本書で示された「時間」「人材」「意欲」という3つの指標は、それを実現するためのカギとなりうる。

 これらの指標に目新しさはない。だが、その必要性がしつこく言われ続けているという事実こそ、多くの企業がそれを実践できていない証だとも言えるだろう。その意味では、本書を通して「時間」「人材」「意欲」という3つのリソースをないがしろにしている事実に気づき、なぜそれが問題なのかをしっかりと理解し、具体的に何をすべきかと考える機会を得ること自体に価値はある。

 ただし、特定の企業をベースに解決策を導いているため、本書で示されたすべての策が、あらゆる企業に当てはまる汎用性を持つとは言えない。その点では、この内容を鵜呑みにするのは危険である。しかし、いわゆる“大企業病”に犯されている現実を頭では理解しながら、それを打破できずにいる企業にとっては、前進するための有益なヒントを与えてくれる作品ではないだろうか。