1. 対立は敵ではなく味方ととらえる

 私たち人間は勝つのが好きだが、それ以上に負けるのが嫌いだ。負けたと感じると、競争や批判、離脱といった姿勢でバランスを取り戻そうとする。これは、職場で身に付ける無力感の一種だ。サンタガタは、成功は全員にとってウィンウィンの成果であることを熟知している。そのため対立が生じると、闘争・逃走反応を回避するためにこう問いかける。「どうすれば互いに望ましい結果が得られるだろうか」

2. 「同じ人間同士」という思いで話す

「誰のせいで、どうなった」という対立の根底には、敬意や有能さ、社会的地位、自立などへの普遍的な欲求がある。人間のこうした深い欲求を認識することで、自然に信頼感が引き出され、ポジティブな言動が促される。

サンタガタはチームのメンバーたちに、どんなに厳しい交渉の場でも、相手チームが自分たちと同様に最後は笑顔で締めくくりたいと願っていることを思い出させた。彼は「私と同じ(Just Like Me) 」という思考法で部下を導いていく。

「この人にも信念、観点、意見がある。私と同じだ」
「この人にも希望や不安があり、弱さを持っている。私と同じだ」
「この人にも友人や家族があり、おそらく子供もいる。私と同じだ」
「この人も尊敬されたい、感謝されたい、自分が有能だと感じたいと願っている。私と同じだ」
「この人も平和と喜び、幸福を望んでいる。私と同じだ」

3. 反応を予測し、対策を練っておく

「あなたのメッセージを受け手がどう反応するか、あらかじめ考えておくと、最も伝えたいことを相手に届けられます。あなたの発言でアイデンティティやエゴを攻撃されたと、相手が受け止める危険が減るのです」とサンタガタは言う。

 ありそうな反応を予測して、それに備え、難しい対話に正面からうまく立ち向かおう。たとえば、厄介な問題を話し合うとき、相手がムキになったり、身構えたりするかもしれない。そういう反応に備え、あなたの意見を裏付ける具体的な証拠を用意しておこう。

 サンタガタはいつもこう自問する。「私がこう主張したら相手はどう反論してくるだろう? その反論に私はどう対応すべきか」。彼はこうも言う。「このように第三者の視点から相手とのやり取りを眺めれば、自分の主張の弱点に気づき、考え直してみようという動機づけになります」

 具体的には以下のように自問してみる。

「私が主張したい要点は何か」
「考えうる相手の反応が3通りあるとすれば、どのようなものか」
「それらの反応にどう対応すべきか」

4. 非難するのではなく好奇心を示す

 非難されていると感じた部下の目には、あなたは牙をむいたトラのように見えてしまう。ワシントン大学のジョン・ゴットマンが行った調査によると、非難や批判は、対立を間違いなく悪化させ、防御的な態度を生じさせ、最終的には離脱につながるという。

 非難の代わりとなるべきは、好奇心である。もしあなたが、相手の考えなどお見通しだと思っているなら、対話の準備ができていない証拠だ。自分がすべての事実を知っているわけではないという前提で、学ぶ態度を取ろう。

 以下のようにするとよい。

・問題のある行動や結果を見たとおりに述べ、事実に基づく中立的な表現を使う。たとえば、「この2ヵ月間、ミーティングでのあなたの発言が目立って減っているし、担当プロジェクトの進捗具合も遅れているね」。

・ともに改善の道を探る。たとえば、「いろんな要因が絡んでいるようだね。それらが何なのか一緒にみてみよう」。

・問題の解決法を問う。問題を引き起こした本人は、解決へのカギを握っていることが多い。したがってポジティブな成果が得られるかどうかはたいてい、渦中の人物の意見や賛同によって決まる。「どうすればいいと思う?」、または「どうなれば理想的だと思う?」とストレートに尋ねてみよう。あるいは、「どうすればあなたの力になれるだろうか」という質問も問題解決につながるだろう。

5. 話し方へのフィードバックを求める

 意見の伝え方についてのフィードバックを求めれば、相手の気持ちを和らげ、コミュニケーション・スキルの盲点もはっきりし、間違いを認める姿勢を示すことができる(この姿勢はリーダーへの信頼感も高めてくれる)。サンタガタは、難しい話題を話し合った最後にこう尋ねる。

・私の伝え方は、どこがよくて、どこが悪かったか。
・私の話を聞いてどう感じたか。
・もっと効果的に説明するには、どうすればいいと思うか。

 たとえばサンタガタは、あるシニア・マネジャーに厳しいフィードバックを述べたあと、みずからの伝え方に対するフィードバックを求めた。マネジャーはこう返答したという。「相当なボディーブローになってもおかしくない内容でしたが、納得のいく証拠を挙げてくれたので、もっと聞きたいという気持ちになりました。そのうえ私が抱える問題についても熱心に話し合おうとしてくれたので、解決にもつながりました」

6. 「安心感」を計る

 サンタガタは定期的に、チームメンバーに、どれだけ安心感を抱いているか、どうすれば安心感が高まるかを尋ねている。それに加えて、チームの成功のために重要な、安心感をはじめとする諸要素について、定期的にアンケートを実施している。グーグル社内では、次のような質問を含むアンケートもある。「間違いを認めたり、ミスを犯したりしても、報復や批判を受けないという確信をどれほど持っていますか」

 いまから着手して、チーム内にこうした安心感を生み出すことができれば、前向きな姿勢で、難題に取り組むモチベーションが高まり、学習や成長の機会が増え、そして何より、パフォーマンスの向上が期待できるだろう。


HBR.ORG原文 High-Performing Teams Need Psychological Safety. Here’s How to Create It August,  24, 2017.

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ローラ・デリゾンナ(Laura Delizonna)
心理学博士。スタンフォード大学のエグゼクティブ・コーチおよびインストラクター。国際的な講演を多数行っている。ChoosingHappiness.com創設者。