ステップ(4)SSTとPDCAの連動と高速回転

 4つ目のステップは、SSTサイクルをPDCAと連動させて、二つのサイクルを高速回転させていく組織能力を作ることである。加速化する環境変化の中で形作られるSSTは、通常そのサイクルが速い。そしてその本質は「変化」にある。その速い時間軸・時間間隔、変化に対する姿勢を土台にPDCAを再構築していくことだとも言える。

 Planする時も、Doする時も、その中でSST(感知-捕捉-変革)のサイクルを回していく。逆に、感知する時にも捕捉する時にも、そのためのPDCAを回していく。そして、PDCAを回す際には組織の体内時計のスピード上げることに注力する。新たなSSTを起点に、SSTとPDCAが混然一体と進んでいく状態が生まれてくると組織自体の時間感度も上がり、SSTとPDCAの双方を迅速に回す強い「しぶとい優良企業」になることができる。

 たとえば、総合商社。輸出・輸入にまつわる口銭ビジネスから鉄や銅など天然資源への事業投資、そして最近では、さまざまな業種(たとえばコンビニ、機械、アパレルなど)の事業運営へと、何度も業態転換をおこなってきた。天然資源はその開発から採掘までの時間軸は長い。10年~20年単位になることも多い。一方、事業運営の時間軸は短い。日々である。商社は、SSTを活かして新たな事業を生み出す一方、組織の時間感度も修正・高速化してきたしぶとい優良企業だ。

 あるいは1973年に創業した「玉子屋」。最初は精肉・鮮魚の販売、とんかつ割烹の店舗運営を行っていたが、いまでは、一個450円の弁当を一日6万食以上売り上げる弁当屋へと発展した。2008年には「ハイ・サービス日本300選」も受賞している。

 玉子屋は、朝10時までに注文すると、その昼にはお弁当が届く高速回転のサプライチェーンプロセスを日々回している。また、食べ残しのチェックで顧客ニーズの変化を敏感に感知し、次のメニューへと反映する仕組も組織内に作り上げている。弁当ビジネスに新たなチャンスを見出し、それを立ち上げ発展させていく中で、SSTとPDCAの能力向上を実現していった好例である。

 大切ことは、未来の事業に合うような時間サイクルを再構築していくことである。ほとんどの場合、より早くを求められる。以前、日立金属の「納期を守ろう」のところで議論したが、この早いサイクルタイムが組織全体で共有されると、それは企業の力になる。

 今後、IoT、AIが進展していく中では、情報処理スピード、伝搬スピードは格段に速くなっていくだろう。企業の体内時計の進み方も早くならざるを得ないはずである。幸か不幸か日本人は、一旦「型」が出来上がると、その型を学ぶこと、実践することには長けている。「変化の仕方」であるSSTを明示化し、PDCAを連動して高速回転する型を作れば、「『備え』のタイミング」「『進化』の速さ」「『変革』のタイミング」「『転身』の速さ」が実現していく。