ステップ(2)組織の問題解決手法の変更

 次なるステップは、感知した変化の兆しを解釈し、変革や価値創造につなげていくことである。しかし組織には、これまでの経験に基づく暗黙裡の問題解決のやり方が存在し、変革や価値創造の邪魔するケースが多い。

 暗黙裡の問題解決のやり方は、当然のことながら、過去の成功、ならびに現在の事業を効率よく行うための形になっている。情報の流れ方も、組織機能間の協力の仕方も、そして、PDCAの回し方も、過去や現状を前提に出来上がっている。必ずしも新しいものを生み出し、それを拡大していくために適したやり方になっているわけではない。

 たとえば分かり易い事例として扇風機を例にとって考えてみよう。扇風機の設計では、モーターの設計部署と羽根の設計部署は密に議論を行う。なぜなら、部品間の関連性が高く、部品間の調整不足が振動等の問題を引き起こしてしまう可能性を生んでしまうからである。一方、モーターの設計部署は、扇風機の台座の開発部署とはあまり議論しない。なぜなら部品間の関連性が比較的小さいからだ。

 もしこの企業が新たな製品ニーズに気づき、チャンスが訪れたとしても、上記の業務の進め方が新しい機会の捕捉を邪魔することがある。たとえば、その新しい機会が小型卓上扇風機であったとすると、これまでのやり方が、小型卓上扇風機の設計上必要となる新たな協業を阻害するかもしれなれないからだ。

 これまでの扇風機と違って、小型卓上扇風機の設計には、小型であるがゆえに、モーターと羽根だけではなく、台座の設計部署も含めた3者の密な連携が必要だったとしても、これまでのコミュニケーション・パスが台座設計部署との連携を抑制してしまうのである。

 つまり、新たなチャンスを掴むためには、これまでの組織の情報の流れや、問題解決のやり方、業務のプロセスあるいは組織文化を、組織の慣性に打ち勝ちながら組み替えなければならないのである。

 さらには、問題解決が求められる時間軸と、問題解決のために必要となる活動の時間軸を適合させる必要がある。たとえば、技術や環境の変化が半年で起こっているのに、開発のリードタイムや検討に要する時間が1年であれば、そもそも価値提供は不可能になってしまう。

 近年、サービタイゼーション(モノからコト)の進展により、生産と消費が同期していく中、対応スピードの加速化も求められている。変革に向けては問題解決の枠組みをも柔軟に変えて、せっかく捉えた機会を逃さないことが重要となる。