●起業への野心

 起業への関心は、すべての世代で高かった。我々の結果では、学生(Z世代)の4人に1人がみずから事業を始めることに関心がある。また、すでに働いているY世代とX世代の職業人では、3人に1人が起業家になることを強く望んでいた。起業への関心が最も高かったのは、メキシコのY世代(57%)とアラブ首長国連邦のY世代(56%)だ。

「国際的企業での勤務」と「起業」のどちらを望むかという質問に対しては、Z世代の回答者は前者、Y世代とX世代の職業人は後者をより多く選んだ。メキシコで前者を望んだY世代の職業人は、わずか27%。インドでは、X世代の43%が起業を、25%が国際的企業に勤めることを望んでいた。

 起業に関心のある従業員を社内に引き留めるためには、社内起業を検討するとよいかもしれない。社内でスタートアップのプロジェクトに取り組む権限を与えるのだ。

 ●テクノロジーの受け止め方

 今後10年間で仕事に革命をもたらしうるテクノロジーは何かを尋ねたところ、Z世代はバーチャル・リアリティの可能性に最も強い関心を示した。この傾向は、メキシコやシンガポールなど一部の国々では強かったが、インドなどでは弱かった。Y世代の職業人もこの質問にバーチャル・リアリティを最も多く選んでおり、ウェアラブル技術、プロジェクト管理ツール、音声/ビデオ会議(および機械学習/人工知能)を上回る。企業はこれらの世代の採用にあたっては、バーチャル・リアリティをツールとして検討するとよいかもしれない。

 一方でX世代は、バーチャル・リアリティ技術が自分の仕事に及ぼす影響は小さいだろうと考えており、プロジェクト管理ツールに最も強い関心を示していた。ドイツ、日本、ロシアなどでは、クラウド・コンピューティングとeラーニングのツールにも熱意を表していた。

 我々はまた、テクノロジーは仕事生活に役立つのか、それとも妨げになっているかを質問した。英国、スウェーデン、ノルウェーでは、上の世代ほどテクノロジーは妨げになると考えていた。X世代でテクノロジーは役立つと見なす傾向が最も顕著なのは、デンマーク、スウェーデン、メキシコだ。Y世代では、メキシコ、スウェーデン、ドイツの回答者がテクノロジーを最も好意的にとらえていた。Z世代の学生の場合には、ドイツ、日本、メキシコではテクノロジーを有益視し、中国、米国、カナダでは仕事の妨げになると見なす傾向が高かった。

 テクノロジーに対して望むことは各世代で大きく異なるものの、年齢に関係なく多くの働き手が同意したのは、自組織のデジタル能力が一定の水準に達していないという点だ。Y世代とX世代では、70%以上が自組織にとってデジタル能力は重要であるとしたが、自社のデジタル能力が高いと答えたのは両世代で40%前後にとどまった。

 そして、全世代にわたり70%を上回る回答者が、今後10年の仕事生活における最重要事項は「勤務時間の柔軟性」と答えた。スイスでは、すべての世代がこれを優先事項の1番目に挙げた。シンガポールのY世代とX世代も同様だ(シンガポールのZ世代は「仕事場所の柔軟性」が第1位)。また、中国と日本の回答者が強い熱意を示したのは、国際的な仕事の機会や、他国のクライアントや従業員との仕事であった。

 ●トレーニング

 仕事の研修に対する志向性は、世代によって異なる。「雇用主からオンラインの研修コースが提供されたら受講するか」との質問にイエスと答えたのは、Z世代で70%、Y世代は77%、X世代は78%であった。

 オンラインと対面の研修ではどちらを選ぶかの質問には、Z世代は69%が対面のプログラムを選び、オンラインのコースを選んだのはわずか13%であった。オンラインの研修に最も関心を示したのはX世代で、25%。Y世代でも21%が対面よりもオンラインを選ぶと答えた。

 ●職場との相性

 自分の性格と職場との適合性については、すべての世代にとって大きな懸念事項であった(Y世代とZ世代の50%、X世代の40%)。これを最も気にしていたのは、日本のY世代(66%)とスペインのY世代(57%)だ。Z世代では日本(60%)とフランス(64%)も顕著であった。

 日本、デンマーク、インドのX世代も、職場との適合性を重要な優先事項に挙げている。だがX世代全般での最たる懸念事項は、引退後の生活不安、キャリアの行き詰まり、失職の不安だ。引退後の不安は、英国、米国、スペインで最大の心配事であった。

 まとめとして、企業とリーダーはこれら世代間での志向性の違いを理解すべきである。それは、リーダーシップ育成、テクノロジー、トレーニング、文化構築に関してよりよい決断を下すために必要なのだ。


HBR.ORG原文:A Survey of 19 Countries Shows How Generations X, Y, and Z Are — and Aren’t — Different, August 25, 2017.

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ヘンリック・ブレスマン(Henrik Bresman)
INSEADの准教授。組織行動論を担当。シンガポールを拠点とする教育分野のシンクタンク、ヘッド財団のアカデミック・ディレクターも務める。

ビニカ D. ラオ(Vinika D. Rao)
INSEAD新興国市場研究所のエグゼクティブ・ディレクター。