●リーダー職への野心

 調査結果では、リーダーとなることが重要とした回答者は、世界全体でY世代が61%、Z世代が61%、X世代が57%であった。だが、その答えは国によってさまざまだ。

 たとえば、北欧諸国の人々はメキシコと比較して、リーダーの役割を切望する傾向が著しく低かった。Y世代の回答者では、リーダー職の獲得は重要だとしたメキシコ人は76%だが、ノルウェー人は47%。そして、米国人は77%であった(日本は51%)。

 企業はこれらの傾向を念頭に置くべきだ。デンマーク、スウェーデン、フランスなどを含む、リーダーシップへの熱意が低い国々では、リーダー職の獲得が重要と答えたY世代の職業人は平均56%に留まる。こうした地域の企業は、人材パイプラインの補充に苦労するだろう。これに対し、メキシコ、米国、インドのような国々では、野心的な働き手の期待に対応する必要があり、リーダー経験やその他のモチベーションを提供する方法を見出さねばならない。

 Y世代とX世代の職業人が概して、マネジメントの仕事において強い熱意を示す対象は、「高度な責任」(例:より多くの部下)よりも、「他者へのコーチングやメンタリング」に対してである。しかしZ世代は、リーダーシップの魅力的な特性として、高度な責任と「大きな自由」を挙げている。

 地理的に見ると、スペインのX世代の回答者は、他者へのコーチングやメンタリングをリーダーシップの最も魅力的な事項とした。一方、ドイツ、ノルウェー、デンマーク、英国、米国の回答者にとって、この優先順位は低く、いずれも「やりがいのある任務」を最も魅力的としている。

 リーダーシップに対する志向は、男性と女性の間でも世代によって異なっていた。X世代では、男性の63%と女性の52%が、リーダーとなることは重要だと回答した。Y世代とZ世代の職業人でそう回答したのは、男性63%、女性61%であった(他の研究でも、若い女性は同世代の男性と同等に野心的であることが示されているが、企業は女性従業員の野心を削いでいると思われることも明らかになっている)。

 回答者が挙げた理由はさまざまだ。X世代の女性は概して、他者へのコーチングやメンタリングに加え、リーダーシップに伴うやりがいのある仕事を楽しむ傾向が高い。Y世代の女性も、他者へのコーチングの機会を他の活動よりも重視している。これに対しZ世代の女性は、高度な責任がリーダーシップの最も魅力的な点だと感じていた。そして男性は、すべての世代で、「将来の収入」と高度な責任に対する関心が高かった。

 リーダーシップを望まない理由について尋ねると、日本、フランス、英国などの国々では、「高度なストレス」がZ世代の回答者を及び腰にさせていた。これはY世代の職業人でも同様で、米国、スイス、フィンランドの回答者においては、Y世代とX世代の両方で高ストレスへの不安が顕著であった。ドイツ、スイス、アラブ首長国連邦のX世代の回答者は、「ワーク・ライフ・バランスの難しさ」を最も気にかけていた。

 我々の調査ではまた、全地域と全世代で男性よりも女性に目立った傾向として、リーダー職に伴う高ストレスへの不安、「リーダーとしての自信の欠如」、「失敗への恐れ」が示された。

 女性の心配の種は、国によって異なるものもある。中国の場合、Y世代の女性は「自身のキャリア進展に必要な成長機会を見つけられない」ことを最も心配していたが、X世代の女性は「引退後の生活不安」をより心配していた。また、どちらの世代も「自分の性格と職場との不一致」を恐れていた。

 米国では、Y世代の女性は「自分のキャリア目標を達成できない」ことを最も心配していた。スウェーデンの同世代の女性にとって最大の心配の種は、「働きすぎ」だ。

 企業にとって、世界各地の女性従業員が抱えるさまざまな不安を理解することはきわめて重要になる。ほとんどの多国籍企業は、全世界または地域ごとにインクルージョン(多様性推進)の方針は持っているが、国レベルでカスタマイズされてはいない。だが、中国の女性が望むことは、インドの女性の望みとは大きく異なる。これらの違いに対応するためには、リーダーシップ育成の取り組みを国ごとに調整する必要があるだろう。