1. ポジティブな無関心を心がける

 ポジティブな無関心とは、異質に見える文化と交わるプロセスを楽観視しており、文化的なさまざまな違いについても、それが重要でもさほど注意を払うほどのことでもないと見なし、あえて見過ごす能力を指す。そうすることで、最初は文化的に異質に思われる業務のやり方(名札をつけなくてはいけない、主要業績評価指標の報告書を頻繁に提出しなければならない、など)に対しても、過度に抵抗を感じることなく順応する。

 ポジティブな無関心が重要である理由は、2つある。第一に、グローバルワークという環境下では、従業員は必然的に文化の違い、文化的に多様な実務を経験する。その際に成功の可否を分けるカギは、物事にスマートに順応する能力なのだ。第二に、ポジティブな無関心によって、従業員は新しい領域について積極的に学び、探求しようとする。そうすれば、グローバル企業での職場生活がいっそう円滑になる。

 2. 文化間の共通項を探す

 前述の1に沿って、従業員が共通項を見出せば、外国文化に近づくことができ、違いを受け入れやすくなる。

 各自が見出す共通項は、一般的なものとは異なり、初めはわかりにくいかもしれない。たとえば、楽天のあるフランス人従業員は、日本とフランスの文化がどちらも結果重視型であり、改善プロセスを分析する傾向にあることに気づいた。これにより、日本人の同僚との共通項を見出したのである。

 またインドネシア人のエンジニアは、毎週5分間を机の片づけに充てる楽天の規則を、モスクに入る時に手足を洗うという彼自身の習慣になぞらえて共通項を見出した。きれいにするという両方の儀礼が、彼の頭の中では特定の場所への関与と責任を象徴していたのである。

 グローバルワーク順応では、共通点を探すことが重要である。異なる文化的背景を持つ従業員間の距離を縮めるとともに、より効果的な協業やチームワークの醸成につながるからだ。

 3. ローカルのオフィスよりも、グローバルな組織に一体感を持つ

 より大きな組織に帰属感を抱けば、価値観や目標を共有しやすくなる。「組織への一体化」とは、個人が組織と1つになった感覚を指す用語であり、これは仕事への満足感や責任感、パフォーマンス向上に不可欠なものである。

 楽天に勤めるインドネシア人従業員は、次のように語った。「私が働くことで、会社のグローバリゼーションの一翼を担っている気がします」。彼の頭の中では、グローバル企業と一体化することは、共同体としてのインターナショナル企業ならびに自社のさらなる発展と同義なのだ。

 企業リーダーが自社の世界進出について明確なメッセージを発することは、上位組織への帰属感を浸透させることにもつながる。また、国をまたいだやり取りを促すべく、社内SNSを導入することも有益だ。

 4. 地理的に離れた子会社との交流を模索する

 日本や米国出身の従業員と違い、二重駐在者は、楽天の他地域の従業員との交流が増えることを歓迎し、それを求めた。ブラジルでは、こうした自主的な交流が52%近くあると伝えられている。反対に、米国では他の子会社との自主的な交流が最も少なく、2%前後にとどまった。

 私の研究によると、密接な交流があると、異なる国々の従業員同士で信頼を築き、ビジョンを共有する能力が高まる。したがって、こうした行動はグローバルワーク順応に欠かせない。また、拠点をまたいで知識を共有するうえでも交流は不可欠である。そうすることで、暗黙知となっていたものが明確化され、情報やベストプラクティスの共有が有益なものとなる。さらに、互いの日常業務から学び合えば、グローバル組織間で効率よい業務方法を素早く浸透させることができる。

 自国で急速に拡大するインターネット・ビジネスが及ぼす影響について、タイ人従業員が次のように指摘した。「他の国々、とりわけ発展途上国から学ぶことは、きわめて重要なのです」

 5. グローバル・キャリアを目指す

 英語を話せる労働者の需要が世界規模で高まっている。これを受けて、グローバル・キャリアが非常に魅力的だと捉えられているセクターが、いくつかある。

 旅、海外生活、多国籍企業で働くことによる出世の機会。グローバル・キャリアを求める理由として、二重駐在者はこれらを挙げる。

 私のインタビューに応じてくれた人々の中には、グローバルに働くことを長年にわたり追い求めていた人もいれば、英語を学ぶにつれてグローバルワークへの憧れが生じたという人もいた。英語学習と海外で働くことへの意欲は、相互に補完し合うものらしい。「他の国に行って、働く機会を持つことができたらうれしいです。将来、英語が上達したら絶対に実現したいです」と台湾人従業員は語る。

 上記5つの心構えや行動が、グローバルな従業員としての成功につながる。現在の職場での役割で、一部あるいはすべてを採り入れている人もいるだろう。あるいは、多国籍企業で出世する方法を模索している人もいるかもしれない。

 いずれにせよ、楽天の二重駐在者は、現在および将来のグローバル社員のよきモデルであり、我々は彼らを手本にして学ぶことができる。


HBR.ORG原文 How to Successfully Work Across Countries, Languages, and Cultures, August 29, 2017.

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セダール・ニーリー(Tsedal Neeley)
ハーバード・ビジネス・スクール准教授。組織行動を専門とする。著書にThe Language of Global Success(未訳)がある。