――とはいえ、今からアマゾンやグーグルのようなプラットフォーマーになるというのも、ハードルが高すぎる気がします。

石川 たしかに、消費者との接点においてはアマゾン等創造的破壊者が大きなシェアを握っています。これに対抗するのは非常に厳しいですが、先ほどお話したナイキのように、一部を切り取り深く掘り下げるという方法なら勝機はまだ十分にあると思います。

 自社が得意とする特定の分野でプラットフォームを構築し、バリューチェーンの全体を押さえるということを考えなければいけない。アマゾンへのサプライヤーとして生きていくという選択肢もあるかもしれませんが、高い付加価値は望めず、見通しは明るくないでしょう。

 今は顧客志向の企業になれるかなれないかの分岐点。この「消費者の無関心化」をチャンスととらえ、顧客に対して、新たな価値を創造する企業に生まれ変わるべきです。

顧客に提供する価値には
2つの方向性がある

――具体的にはどのような取り組みが考えられますか。

百瀬 例えば、動画配信サービスのNetflixは、テレビ番組や映画などを好きな時に好きな場所で見られるようにしました。放送時間にしか見られないテレビ番組に不便を感じていた顧客のニーズに応えているのが特徴です。

 また、Uberはご存知のようにタクシー業界の破壊を皮切りに、テクノロジーの活用を通じて、あらゆるものの「移動」をより低コストに、低ストレスな形へと再定義し、さまざまなサービスを展開しています。

石川 このように消費者と強固な関係性を構築している企業は「ゼロベースでの顧客価値の再定義」「独自のプラットフォーム構築」「絶え間ない進化」という3つの要素をすべからく備えています(下図)

 まず、顧客価値の再定義という要素について言えば、例えば、AppleやNetflixは喜びや感動を最大化するサービスを、AmazonやUberはストレスを極小化するサービスを展開しています。無関心化する消費者に対し、新たな価値やサービスを提供し、振り向かせているのです。

 さらに、顧客と直接インタラクションし、顧客理解を深められる独自のプラットフォームを構築しています。そして、新規テクノロジーを取り入れるなど常に進化を目指しています。

 日本企業ももう一度、これらの企業のように顧客にどんな価値を提供していくのかを再定義し、そのプラットフォームをどう構築するかを早急に検討すべきです。もちろん、他に先駆けた新規テクノロジー、サービスの試行・導入も重要です。顧客に対して新たな価値を提供するビジネスモデル変革が、無関心化が進む今の時代に求められているのではないでしょうか。

関連サイト:https://www.accenture.com/jp-ja/insight-customer-loyalty-gcpr

(取材・文/河合起季 撮影/西出裕一)