日本企業は顧客との距離が遠すぎる

――マーケティング戦略にも関わってきますね。

石川 そうですね。日本のメーカーは、顧客との距離が遠く、真に顧客志向の製品・サービスの提供という意味ではまだまだ改善の余地があると思います。例えば、アマゾンは「地球上で最も顧客志向の企業になる」という理念の下、創出したキャッシュを商品・サービス拡充のための先行投資へ継続的に振り向け、消費者に対して絶え間なく、新たなサービスを提供しています(下図)

出典:AmazonIR資料、プレスリリースを基にアクセンチュア作成

 わかりやすい事例は濃縮トマト飲料「カゴメ プレミアムレッド」です。アマゾンが自社に蓄積されたビッグデータを基に、健康成分リコピンが世間で注目されていることに目をつけ、その量を従来品に比べて2倍に増やしたそうです。通常のトマトジュースより高価であるにも関わらず、年間売上高はアマゾンで販売するカゴメ商品のトップ10に入るとのことです。アマゾンは顧客リーチ力があるのはもちろんですが、それだけでなく、顧客データから無関心化する顧客の『関心』を引き出す能力を備えており、これがアマゾンの競争優位となっていると考えられます。

ビジネスの一部を切り取り、
深く掘り下げる方法なら勝機はまだある

――無関心化は企業にとっては問題ですが、消費者にとってのデメリットは何もないのでは?

百瀬 そうですね。また、簡単に日用品を注文できる「Amazon Dash Button」「Amazon Echo」や、旅行プランを自動で作成してくれる「Google Trips」などのように、消費者が無関心のままでいられるサービスを提供している企業にとっても必ずしも悪いわけではありません。

 しかし、消費者の無関心化は、今後、多くの日本企業にとって顧客との距離をますます遠ざけ、コミュニケーションを不可能にするという大問題に発展していくでしょう。例えば、「Google Trips」を使えば、自分で簡単に飛行機やホテルの予約ができますが、航空会社やホテルにしてみれば、グーグルに主導権を握られた状態になってしまいます。これでは、自社の努力で顧客を獲得し売り上げを伸ばすことも難しくなります。