日本は新たなサービスの
利用率・認知率が低い

――先進国の中でも日本の消費者の無関心化が顕著なのは、そうした新たな体験の提供が少ないことが影響しているのでしょうか。

石川 そう考えられます。今回の消費者調査によると、「新たなサービス・体験(シェアリングサービス・パーソナライズサービス・自動補充サービス)について、利用したいと感じますか?」という問いに対し、「感じる」と答えた割合は、日本の消費者も米国の消費者とほぼ同じでした。ただ、米国に比べて、日本は新たなサービスの利用率・認知率が低く、そもそも体験する機会が少ない。したがって、新たなサービスを日本企業が提供しきれていないことが、無関心化・低ロイヤリティ化の背景にあるのではないかと考えられます。

 その状況は、日本とグローバルの時価総額トップ10を、10年前と比較してみるとよくわかります。日本の時価総額トップ10を見ると、この10年間で顔ぶれに大きな変化は見られず、企業価値も10年前と同水準です。これに対して、グローバル時価総額トップ10の顔ぶれは、資源・金融から、新たなサービスを提供する、いわゆる「創造的破壊者」へと大きく様変わりし、企業価値も10年前の1.6倍に成長しています。

――「創造的破壊者」が日本企業の中から出てこないのはなぜでしょう?

百瀬 これまで日本の経営層は、製品のクオリティ重視でした。基本的には、機能向上=顧客に対する価値の提供(価格アップ)と考え、この方向性がブレないことが高い技術を誇る日本企業の強みでした。しかし、機能を足していくだけでは価値が生まれにくくなっています。考え方の転換が必要な時期にきているのです。

 例えば、NIKE(ナイキ)は、靴自体の機能をアピールするというよりも、履く人にとって新たな価値を提供するツールやサービスを開発し、ブランドのファンになってもらうための新価値創造(イノベーション)に力を入れています。「Nike+」というサービスでは、オンライン上で自分の記録をアップデートしたり、サイト上で個人やチームの走行距離を競ったりすることもできます。靴を通して得られる体験や喜びという価値を提供しているんですね。一方で、消費者と直接やり取りすることで、そのニーズを製品やサービスなどに反映させてもいます。