――国の政策として強制力を持たせるような取り組みは、短期間で成果が上がりそうですが、日本では可能性はあるのでしょうか。

瀧川 例えば、少子高齢化の進行に伴う社会保障制度改革の一環として、政府はいくつかの施策を打ち出しています。例えば、地域医療構想は、プライマリーバランス悪化の要因である医療費の高騰を抑え、医療の質も改善しようとする取組みとなります。医療機関に対しては病床数管理を義務付ける一方、地域にも受け皿となる在宅医療等を含めた包括ケアシステムの構築を促進しています。このような国・自治体・医療機関等を巻き込んだ取組みの中で、民間の保険会社もテクノロジーを活用し、自社の持つ資産やケイパビリティを活かした貢献の仕方を模索することは、大きな規模の事業につながる可能性があるといえるでしょう。

世界に先駆け、社会課題を解決する
ビジネスが起こせるか

――最後に、日本のフィンテック企業がユニコーンになるにはどうすればいいでしょう?

 日本の市場をターゲットとしたサービス開発を志向している限り、日本のベンチャー企業がユニコーンになるのは難しいと思われます。グローバルのフィンテックベンチャーとの大きな違いは、国内だけを見るのか、グローバルへの展開も視野に入れるのか、ということです。国内を主軸として考えるにしても、金融とそれ以外のサービスを組み合わせて顧客をどれだけ広く捉え直すことができるかということが鍵になるでしょう。

村上 社会課題先進国といわれる日本が抱える課題を、どうビジネスに変えて、さらにそのソリューションを如何にグローバルに提供するかがテーマの1つになると思います。

 保険や医療、介護などを組み合わせた利便性の高いサービスを世界に先駆けて提供できれば、今後日本と同様に少子高齢化・長寿命化社会を迎えるグローバルの国々に展開できる可能性が広がります。そういった社会課題にチャレンジするフィンテック企業や金融機関によるイノベーションの創出が求められています。

(取材・文/河合起季 撮影/宇佐見利明)