たとえば、ジェンダーを見てみよう。いまや女性は、多くの国で大卒の過半数を占め(報告書の英文PDF)、米国では修士号取得者や博士号取得者の過半数も女性だ。さらに、拡大を続ける事業領域で女性が顧客やエンドユーザー、規制当局者の過半数を占めるようになってきた。多くの大企業では、新卒採用者の過半数も女性が占めている。人材プールや顧客ベースにますます女性の比率が増えていくなかで、ビジネスチャンスをものにしようと思ったら、女性を特定利益集団と定義する方法は、もはや有効ではない。

 多様性をめぐる現代の課題は、ベビーブーム世代の白人男性が好む時代遅れのリーダーシップ規範に、より多くの人を適応させることではない。その課題とは、マネジャー全員、とりわけ現在のリーダーたちにスキルを身につけさせ、多様性を大いに増した企業を率いて、ますます多様になっていく顧客グループに対応できるよう準備させることだ。

 ERGのような従業員同士によるグループ活動が、多様性を受け入れて一体感を生み出す「インクルージョン」を特定利益集団の問題として定義したとすれば、デロイトのERG廃止への転換はパワフルな再定義といえる。同社の試みは、「多様性はあらゆる人の問題であり、支配集団こそ進化する必要がある」と表明する手段なのだ。 

 デロイトでチーフ・インクルージョン・オフィサーを務めるデボラ・デハスは、次のように明瞭に総括する。「多様性の力を解き放つカギは、インクルージョンにあります。当社にとって、インクルージョンはリーダーシップそのものです。これを実現できる企業文化を創出する責任は、誰もが日々、あらゆるレベルで担っています」

 現実を見れば、女性でトップに任命された最高経営責任者(CEO)の大半は、男性リーダーによって選び出され、育成され、任命されている。ゼロックスのアン・マルケイヒー、IBMのジニー・ロメッティ、そしてゼネラルモーターズ のメアリー・バーラは、ジェンダーバランスの改善を数十年にわたって推し進めてきたCEOたちと、企業各社の成果といえる。

 グーグルが最近、経営トップチームのジェンダーバランスを取った理由は、多様性に向けた漸進的な企業努力ではない。同社CEOのサンダー・ピチャイが、経営陣に6人の女性と7人の男性を任命しようと決めたからだ。その一方で、テクノロジー業界他社は「トップにふさわしい女性を見つけるのは不可能だ」と主張し続けている。こう認めざるを得ないのは悲しいことだが、企業における女性リーダーシップの将来は、いまだに男性の掌中にある。

 したがって、我々には今後、取り組むべき課題がある。それは、今日の支配集団を教育して、インクルージョンが企業のためになることを納得させることだ。この課題を彼らの問題と責任にしなければ、課題の遂行は不可能だろう。その意味において、デロイトと他のグローバル・イノベーター企業数社は先を行っている。

 さて問題は、「誰が続くか」だ。


HBR.ORG原文Deloitte’s Radical Attempt to Reframe Diversity, August 3, 2017

■こちらの記事もおすすめします
世界トップ企業の経営陣から見えてくる男女格差の現実
内向的な人、リモートワーカー、女性…会議で軽視されがちな3タイプの人たち
ジェンダーフリーの論点

 

アビバ・ウィッテンバーグ=コックス(Avivah Wittenberg-Cox)
ジェンダーバランスの支援を専門とするコンサルティング会社20-firstのCEO。著書にSeven Steps to Leading a Gender-Balanced Business(未訳)がある。