●仕事の置かれた文脈と、その意義を伝える

 仕事の重要性、つまり仕事が決算だけでなく、実際に誰かあるいは何かの役に立つという気づきほど、やる気を引き出すものはない。部下のモチベーションを高めるにはまず、頼みたい仕事の文脈を伝えることだ。

 自分たちは組織として、チームとして何をしようとしているのか。何のために働くのか。自分たちの仕事は誰に、どのように役立っているのか。成功はチームにとって、また各人にとって何を意味するのか。その目標を実現するうえで、各人はどんな役割を果たすのか。

 こうした仕事の意義を理解したときにこそ、部下はやる気を出すのである。

●壁を予測し、前進を持続可能にする

 部下に何か重要な仕事をさせようとすれば、成功までの道のりの間には、まず間違いなく、さまざまな壁や難題に出くわすはずだ。壁がモチベーションに多大な悪影響を及ぼすことを認識しなくてはならない。そして、前もって壁を予測し、対策を立てておくことだ。

 部下の仕事を困難で面倒なものにする要因は何か。部下の負担を軽くするために、あなたにできることは何か。どのような壁にぶち当たりそうか。どうすればそれを排除できるか。トラブルを予測し、成功への道を切り開くだけの熱意をいかに保てるか。

 無用のトラブルや意味のない負担がなく、前進していければ、部下のやる気も高まる。

●貢献を認め、感謝を示す

 アメとムチを使って部下の満足度を高めようとする方法には、つい頼りたくなる。しかし、持続的なモチベーションのためには、実はアメもムチも不必要だ。ずっと効果が高いのは、リーダーが部下の貢献を認め、感謝することで、部下が十分に評価されていると感じることである。

 最高の努力を引き出すうえで、感謝を示すことがどれほどの威力を発揮するか、リーダーはつい忘れがちだ。どのようなマイルストーンを達成したか。どんな予想外の、あるいは予想以上の成果をもたらしたか。同僚を助けるため、あるいは納期を守るために、通常の職務の範囲を超えて頑張ったのは誰か。困っている顧客に優れたサービスやサポートを提供したのは誰か。自社の価値観に基づいて有言実行を貫き、周囲の模範となって表彰されるべきなのは誰か。

 部下のモチベーションが高まるのは、自分の貢献が認められ感謝されたことを実感するときである。

●自分自身のモチベーションを評価してみる

 上記のすべてを実行してもなお、なかなか部下のモチベーションが上がらないときはどうすればいいか。そのときは、自分自身のモチベーションを見直す必要があるかもしれない。

 リーダーが本気で仕事に取り組んでいるかどうか、そのことに部下は非常に敏感である。会社に対して、チームに対して、また関わっている仕事に対して、あなた自身が熱心になれないとすれば、周囲の人間にやる気を出させることなどできるはずもない。

 あなたはリーダーという役割のどんな面を楽しんでいるのか。チームのリーダーとして誇りを感じるのはどんなときか。あなたとチームは組織の内外でどんなインパクトを与えられるのか。どうすれば自分の役割を調整して活力と熱意を高めることができるのか。

 リーダーがやる気を出せば、部下も本気になるものだ。

 まとめると、こういうことになる。

 部下をやる気にさせようと、時代遅れな方法に頼ってはいけない。日々の仕事の意義について、部下と語り合う。起こりそうなトラブルを事前に予想し、解決しておく。具体的かつ有意義な方法で、ひんぱんに部下の貢献を称える。自分のモチベーションを高く保ち、そのことを積極的に部下に伝える。

 アメやムチは片付けて、その代わりに有意義な対話をしよう。そうすれば、あなたが率いるのはモチベーションの高いチームになっているはずだ。


HBR.ORG原文 Motivating Employees Is Not About Carrots or Sticks, June 27, 2017.

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リサ・ライ(Lisa Lai)
世界で最も成功しているリーダーや企業のアドバイザー、コンサルタント、コーチ。ハーバード・ビジネススクール・パブリッシングでグローバル・リーダーシップ開発プログラムのモデレーターも務めている。フェイスブック(@LaiVentures)、ツイッター(@Soul4Breakfast)、ブログおよび自身のウェブサイトでも発信している。