従来型のビジネスモデルにサステナビリティの視点を

 現在のビジネス環境は、VUCAと表現されるように、デジタル技術の急速な発展・普及、消費者意識の変化、環境・社会課題の深刻化などにより、過去に類を見ないほど、先を見通すことが難しくなっている。こうした状況で、企業のサステナビリティに関する戦略の策定と、これらに基づく実践的な取り組みの実践に注目が集まっている。これは、企業の中長期的な業績の拡大、持続的な成長を達成するには、経済的価値だけを追求した従来型のビジネスモデルでは不十分で、サステナビリティのコンセプトを加えた新しいビジネスモデルが必要とされていると理解すべきである。

 EUなどの政府機関や機関投資家などを中心とした、企業に対する非財務情報(サステナビリティ関連)開示要請に関する一連の動向は、企業の将来性を評価するためには、財務、非財務の両方の情報が重要であることを示している。デジタル技術の普及に伴い、企業内部に滞留していた情報が外部に出やすい状況が生じており、企業とそれを取り巻くステークホルダーとの関係性が急速に変わってきている。グローバル企業のなかには、こうした状況の変化をいち早く機会ととらえ、経営戦略にサステナビリティの要素を組み入れて自社の成長戦略を策定することで、持続的な成長基盤を構築し、業績向上などの成果につなげているところがある。

 アクセンチュアが提唱する「GPS戦略」は、経済利益の追求とともに「サステナビリティ」のコンセプトを組み入れて経営戦略を策定することで企業の持続的な成長を実現する戦略モデルである。将来を見通しづらいVUCA時代だからこそ、社会課題を具体的に特定し、目指すべきゴールを明確にし、関連するステークホルダーとともに解決を図っていくことで、企業の持続可能な成長を実現することができる。

>> 「新時代の競争戦略-GPSモデル 共有価値共創の実践に向けて」(前編)はこちら

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海老原 城一(えびはら・じょういち) アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 サステナビリティグループ統括 マネジング・ディレクター
東京大学卒業後、1999年アクセンチュア入社。公共事業体の戦略立案や、スマートシティ―の構想立案に多数従事。東日本大震災以降は自社の復興支援プロジェクトの責任者を務める。
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髙橋 信吾(たかはし・しんご) アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 サステナビリティグループ シニア・マネジャー
京都大学大学院、ブリティッシュコロンビア大学大学院修了。三菱総合研究所を経て、2016年にアクセンチュア参画。環境・サステナビリティ分野を中心に調査・コンサルティング業務に多数従事。
(写真右)
齋藤 倫玲(さいとう・りんれい) アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 サステナビリティグループ マネジャー
フェリス女学院大学卒。2008年アクセンチュア入社。現在同社戦略コンサルティング本部マネジャー。サステナビリティ分野のエキスパートとして、幅広い業界を対象に事業戦略立案、新規事業開発を支援。