「部下たちに絶えず注視されるのは、きまりが悪いものです」と、ハーバード・ビジネス・スクール教授のリンダ A. ヒル(DHBR 2007年3月号「新任マネジャーはなぜつまずいてしまうのか」の著者)は言う。それでも、部下に注意を向けることが、それまで以上に重要になるという。

 新任マネジャーのあなたは、チームを味方につける必要がある。チームがあなたの下で最高のパフォーマンスを見せ、リーダーとして認めてもらう必要があるのだ。あなたと直属の部下たちが互いに新しい役割を微調整している間に、部下たちはあなたの中に、次に挙げる3つの具体的事項があるかどうかを見極めようとしている。

・昇進した理由は前職で優秀だったからだろうが、はたしてマネジャーとしては優秀なのか。
・新リーダーとしてやるべきことをしたいと望んでいるか。
・任務を遂行するに当たり、適切なネットワークと敬意、能力を持っているか。

「あなたが発する言葉と態度を手がかりに、配下の人たちは証拠を集めます」と、ヒルは説明する。「何をするかはもちろん、それをどのようにするかについても、あなたは注意を払う必要があります。あなたの言葉が重要な意味を持つのです」

 上記3つの領域であなたの力量を示せれば、チームの不安を払拭するのに大いに役立つだろう。サットンの助言によれば、単に考え方を変えるだけでも効果があるという。

 具体的には、次のように自問してみればいい。部下を支援しているか。自分のことばかりでなく、部下が活躍できるように気をかけているか。そして、意思決定の仕方は公平か。

 チームメンバーは、あなたの一挙手一投足から手がかりを得ようと注目をしているはずだ。あなたはどのようなタイプの上司になるのか。信頼性や品性、成功へとチームを導く影響力があるのか。

 私自身、管理職になりたての頃は、自分の行動がどんな反響を呼ぶかに気づかず、いくつもの失敗をした。

 たとえば、新しい任務を完璧にこなそうと、夜遅くや週末にメールを送信したり、返信したりすることが頻繁にあった。そうすることで、私自身はリラックスできた。受信トレイは空になったから、あとは他の誰かがボールを打ち返してくるのを待っていればいい、と。そうすることでチームに、四六時中メールに対応するよう圧力をかけていたとは、勇気ある直属の部下に指摘されるまでまったく思いも寄らなかった。もちろん、それは私の本意ではなかったので、メールは業務時間中に送信するよう予定を組むようになった。

 前述した3人の専門家の助言によれば、新任マネジャーとしてあなたが注力すべきは、ビジョンを提示すること、チームワークを支援・指導すること、そして、大いに貢献しているメンバーを評価することだ。

 たとえば、話すよりも聞くことに重点を置くことで、直属の部下たちの専門知識を評価していると伝えることになる。緊張した新任マネジャーではなく、真のリーダーになることに注力するようになってから、私はどうすれば最高の成果を出せるか、チームに尋ねるようになった。自分一人で答えを出すのではなく。そうすることで、メンバーたちの意見や専門知識を大切にしていることや、私が自分のことを単独で何でもこなす人間であると考えていないことが、チームに伝わったのだと思う。

 また、プライベートでも公の場でも、上司の前でチームを必ず褒めるよう心がけたので、私がチームの側についていることも周知された。翌年、私たちは最高の業界賞を受賞した。それは、私たちがようやくチームとして一丸となった成果の表れといえる。

 昇進前に優れた成果を生み出したからといって、優れたリーダーに自然となれるわけではない。学ぶべきことはたくさんあると認識したうえで、期待されている水準に迅速に達するように、自分の上司に助けと指導を求める必要がある。

 そして、学びの過程では、時にリラックスすることも大切だ。「新任マネジャーはただでさえ緊張のただなかにあります」とヒルは言う。「心身ともに十分な休養をとる必要があります。そうすることで初めて、周囲の人々の話に耳を傾ける心の余裕が生まれるのです」


HBR.ORG原文 New Managers Should Focus on Helping Their Teams, Not Pleasing Their Bosses, July 7, 2017.

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カレン・ディロン(Karen Dillon)
元『ハーバード・ビジネス・レビュー』編集者。共著に『ジョブ理論』がある。