1.自己認識の欠如

 マネジャーは往々にして、自分自身の行動が信頼の欠如を示している可能性を認識していない。自分は部下Aを信頼しているのだから、Aにはそれが伝わっているはず、と思いがちなのだ。しかし、プロジェクトの状況確認を定期的に行ったり、支援を提供したりといった善意の行動でさえ、部下に不信を感じさせる場合がある。「独力で任務を完遂できるとまでは信頼されていない」と受けとられる可能性もあるからだ。

2.構造的な「リスク回避志向」

 企業の組織構造、方針、文化はたいてい、リスクを最小化して効率を最適化するようにつくられている。だがリスクを嫌う組織は、「従業員にはリソースと情報を任せられない」というシグナルを送っているかもしれない。

 中央集権化、リソースと情報の制限、そして規制だらけの官僚的な文化は、従業員の自発性を抑え込んでしまう。たとえマネジャーが部下の自発的な取り組みをサポートしても、リスク回避志向の企業では、その自発的なアイデアは日の目を見ない可能性が高い。

 我々と連携した某社は、イノベーションと創造性の促進を目指していたが、新しいプロジェクトが認可されるには経営委員会の承認が必要で、そのプロセスに1年を要していた。多くの従業員は事実上このプロセスを活用できず、イノベーションは抑え込まれ、不信感ばかりが残った。

 その責任が企業の方針にあったとしても、従業員は直属の上司に責めを帰すかもしれず、そうなれば信頼の低下につながる。

3.利益第一主義

 業績目標達成とコスト管理のプレッシャーによって、マネジャーは意図せず信頼の欠如を示してしまうことがある。この種のプレッシャーが大きい場合、多くのマネジャーは自己保身を重視するようになり、部下への締め付けを強める。そして、利益目標の必達のみを重視するようになり、往々にして他の優先事項が犠牲にされる。たとえば他者との関係を育むことや、部下に権限を与えて自主的な判断を促すことなどだ。

●マネジャーは信頼を示すために何ができるか

 ここまで、よくありがちな問題を述べてきたが、マネジャーが従業員への信頼を示せる方法はいくつかある。