●問題を是正するには

 欠陥のある経営文化を築いてきた企業が、新たなリーダーを迎え入れることで変身を遂げたという例はたしかに多くある。たとえば、シーメンスの贈収賄不祥事を思い起こす方もいるだろう。あらゆる点から考えて、新たな首脳陣が、純粋なイノベーションと実績に基づく競争へと同社を引き戻したと言える。

 だがウーバーの問題は、みずからのビジネスモデルに根差しているため、トップをすげ替えても解決しない。ビジネスモデルそのものが対象とされて罰せられない限り、違法行為は続くだろう。

 これを実行する最善の方法は、現行の法を厳格に施行して、ほとんど容赦せずに、ウーバー(ならびに同様の手法を採っている他社)の違反を罰することだ。ウーバーは創業以来、文字通り何千もの行政区域で数十億という配車サービスを提供してきている。個々のサービスに対する罰金や違約金は、優に数百ドルに達しうる。

 ほとんどの行政区域において、これら過去の違反は時効には達していないため、訴訟への支障は何もない。結果的にウーバーのリスクの総計は、手持ち資金と帳簿価額をはるかに上回ることになる。いくつかの都市が訴えて、ある程度の成功を収めれば、ウーバーは破産するかもしれない。その場合は多くの起業家に対し、イノベーションにおいては法を順守しなければならないという見せしめになるはずだ。

 ウーバーの愛用者らは、同社の営業を停止することは「細事にこだわり大事を逸する」行為だと主張するかもしれない。つまり、乗客と運転手および株主が損をする、と。だが、その反対であるという有力な証拠が存在する。

 ナップスターのケースを考えてみよう。ナップスターはきわめて革新的であった。あらゆる楽曲を視聴者の手元に届け、在庫切れはなく、レコードの実店舗に出向く必要もなくした。けれども、ナップスターのアプローチは全体的に違法行為を土台としており、同社のイノベーションは有益でありながらも、根本的な知的所有権侵害を帳消しにするものではない。アーティストやレコード会社からの圧力のもと、ナップスターはついに営業停止を余儀なくされた。

 だが、ナップスターが消滅したからといって、ミュージシャンや視聴者は、同社が存在するより以前の状態に戻ったわけではない。それどころか、いまではiTunesも、パンドラも、スポティファイもある。いずれもナップスターの素晴らしさと合法な部分を保持しながら、著作権法の範囲内にある事業だ。

 ナップスターと同様にウーバーは、現代のITをうまく適用すれば根本的な非効率性を改善しうると着目した点では、称賛に値する。しかし、それだけでは不十分なのだ。

 国際社会への参加には、法の尊重と順守が求められる。企業がサービスを飛躍的に改善して世に送り出す際には(多くの人々はウーバーがそれを実現したと感じている)、そのような要件など無視したいという誘惑に駆られるものだ。だが、商用車両の認可という明確な規則を適用しないことで、我々は違法行為とそのあらゆる悪しき結果を助長している。

 そうしてはならない理由は、広く知れ渡っているウーバーの欠陥が明白に示している。


HBR.ORG原文: Uber Can’t Be Fixed — It’s Time for Regulators to Shut It Down, June 21, 2017.

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ベンジャミン・エデルマン(Benjamin Edelman)
ハーバード・ビジネス・スクール准教授。主要なプラットフォーム企業と競合関係にある数々の企業に助言を行っている。