この直感に抵抗するのは、簡単ではないだろう。しかし、仕事と遊びをうまく配分すれば、先に楽しむことが上手にできるようになる。

 そのための3つのステップを以下に示そう。

1. 楽しいこと、自分へのご褒美をなぜためらっているのか自問してみる

「仕事に差しつかえるから」と思っているのなら、それは正しいかもしれない。娯楽の中には、後の仕事効率に響くものもある。5キロの市民マラソンを走る前に、お祝いだからとビールを勧める人はいないだろう。しかし、「仕事が気になって楽しめないから、後にしたほうが得だ」と思っているのなら、それは間違いかもしれない。後で遊ぶのが悪いと言っているのではない。結局は、私たちの実験でも、仕事の後での遊びはまさに予想どおりに楽しいものだった。ただここで強調したいのは、仕事の前に遊んでも同じくらい楽しい、という点である。

2. 少し時間をかけて、楽しい体験を詳しく思い描いてみる

 目を閉じて一瞬一瞬を脳裏に再現してみることだ。きわめて詳細に、具体的に、集中して想像することを、優れた意思決定者はしょっちゅうやるが、凡人はなかなかやらない。誘導質問の実験を思い出してほしい。体験がどんなものかを書き出すだけで、楽しさの程度についての予測が改善された。実生活においても、大きな仕事が仕上がらないうちに休暇を取るのが不安なら、休暇中のさまざまな予定を書き出してみれば、どんなに夢中になれる楽しみかを確認できるだろう。気がかりがあっても、体験の楽しさが減ることはおそらくない。

3. 手軽にできる楽しみなら、「先に遊ぶ」を実際に試してみる

 仕事をやり残したまま何か楽しいこと(スパに行ってマッサージを受けるなど)をしてみよう。遊んでいるとき何に注意が向くか、遊んだあとの仕事がどのように感じられるか、注力することだ。判断のバイアスをなくす最良の方法は、実際に体験してみることである。残念ながら、「先に遊ぶ」のは悪いことだという通念が実体験を邪魔している。あらかじめ小さな実験をしておけば、いつか仕事と遊びのバランスを取る際に鮮明かつ有益なヒントになることだろう。

 楽しむのは困難だと思うかもしれないが、決してそんなことはない。何かを楽しむには、「適切な時」まで待つもよし、いますぐやるもよし。どちらにせよ、楽しさに変わりはないのだから。


HBR.ORG原文 Stop Putting Off Fun for After You Finish All Your Work, July 7, 2017.

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エド・オブライアン(Ed O’Brien)
シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス教授。