分化するために、組織に異分子を投入する

 では、どうすれば分化できるのでしょうか。日常の業務レベルで、各自の仕事を明確に区分していくことなどを心掛けるということでしょうか。

 そうした業務改革を行うと同時に、組織風土というものは強固なので、構成員を継続的に流動化していくことが必要です。本書で、いくつか提案していますが、例えば、「組織に異分子を投入する」「会社から転出する企業文化を醸成する」などが考えられます。

 異分子とは、外国人社員や契約社員、フリーランスの専門家等を指します。男性社員が多い会社では女性社員を意識的に入れるということも有効です。

 未分化の組織は、中にいる人にとっては居心地が良い面もあります。習慣にしたがって仕事をしていれば良いし、中での競争もある程度決まった形で、そう激しくないからです。そのように固まった組織を揺るがすには、異分子を相当大きな比率で入れることです。

 異分子は従来の組織のルールとは異なる形で仕事をしようとするし、競争意識も高いものです。外国人社員も、契約社員も、フリーの専門家も、自らの実績を示して、市場で認められることの重要性がわかっているからです。彼らが、旧来組織の中で、成果を示せば、中の人も変わっていかざるをえません。

 今日においても、プロジェクトベースで仕事をする機会は徐々に増えていますが、そういう機会を通じて、組織内の人たちが組織の“ぬるま湯”に気が付いて少しずつ変わっていっています。その結果、企業の競争力は高まっていきます。流行りの言葉でいえば、ダイバーシティによる競争力の強化ということです。

 働き方改革を推進したり、イノベーションを生む企業風土を培ったりすることを経営者が真に望むのであれば、組織メンバーの多様化を強力に進めるため、それを促す制度やルールをつくるべきです。

 リクルートという企業には昔から40歳くらいまでに会社を出るという企業風土があり、社員もそれを前提に入社してきます。ですから、リクルートに定年まで働き続けるという意識が希薄で、個人が分化しているようです。

 個人の分化を実現するには、これくらいの企業風土を培うという意識を経営者がもつことが必要だと思います。昔から日本には「のれん分け」という制度があります。ある程度仕事を覚えたら独立するのですが、皆、それを前提にその店や企業で勤めるわけで、特別なことではないのです。この制度を導入することで、緊張感を高めて、競争力を高めている企業も多くあります。(了)