自らのデジタル戦略を早く描き
とにかく一歩を踏み出すべき

――デジタルM&Aを推進するために、日本企業に今求められる取り組みは何ですか。

 このサイトで最近公開したアクセンチュアのレポート『顧客の言うことを真に受けてはいけない(マーケティングから始める、B2B製造業のIoT)』でも書いている通り、デジタル技術ありきという発想や、顧客の要望を表面的に聞くというスタンスでは成功しません。真に顧客の課題を解決する方法論を生み出すことが重要です。

 デジタルM&Aに際して、技術だけを見て取り込もうとすると、そのスタートアップが持つ本当の価値を消してしまう可能性があります。仮に、成長しているスタートアップの経営者に「なぜ創業したのか」と質問すれば、ほとんどが「顧客のこういう課題を解決することで社会をよくできる」というふうに答えるはず。決して「このデジタル技術へのニーズがあるから起業した」などと答える人はいないでしょう。

 また、スタートアップにとって魅力的な企業になることも大切です。スタートアップは資金だけでなく、人的リソース、ネットワークに制約があるため、自社のビジネスをグローバルレベルに急速に展開するためにはサポートを求めています。彼らがやりたいことを壊さずにどのくらいサポートできるか、それが彼らにとっての魅力度になります。ですから、まずはいかに自分たちが魅力的に映るかということを考える。そこがデジタルM&Aのスタート地点になるでしょう。GE Venturesはソフトウエアのプロフェッショナルが5000人、エンジニアが3万5000人、100ヵ国以上の国で40万人以上があなたの仕事を支援するということを魅力度として語っています。

 いずれにしても、日本企業は自らのデジタル戦略を早く描き、とにかく一歩を踏み出すべきです。そもそもデジタル戦略は、始めてから軌道修正を繰り返す、あるいは芽が出ないようなら次のオプションに進むというのが基本的な考え方。M&Aにしてもアライアンスにしても、スピードを重視し、まずは動き出すことが重要ではないでしょうか。

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(取材・文/河合起季 撮影/宇佐見利明)