こうしたペルソナは、起業家が性別によってどう評価されているか、その主な違いを浮き彫りにしている。

 男性は起業家としての見込みがあると特徴づけられているが、女性の起業家としての可能性は軽視されている。男女とも多くの若手起業家が「若い」と表現されているが、男性の若さは将来性と捉えられている一方で、女性の若さは経験不足と見なされている。男性の攻撃的かつ傲慢な印象はプラス材料と見なされているが、女性の経験とやる気は感情面での欠点としてマイナス材料となっている。慎重さについても、起業家の性別によって捉えられ方が大きく異なっていた。

 当然ながら、こうしたステレオタイプは、資金援助を受けられるか否かに影響を及ぼすようだ。女性起業家が申請額の平均25%しか援助を受けていない一方、男性は申請額の平均52%を受け取っている。また、女性が資金援助を断られる割合は男性に比べると高い。女性による申請の53%近くが却下されているが、男性による申請が却下されたのは38%だったのだ。

 政府系VCsは資金提供の意思決定で、国家とEUの平等権基準と複数の男女平等に関する要件を考慮することが求められている。その点を踏まえて考えると、実に驚くべき結果である。

 我々の調査結果を政府系VCsに示したところ、さまざまな反応が得られた。国家レベルでは、この知見がプラスに働き、政府系VCの資金分配に関する新戦略の構築に影響を及ぼすことになった。また、新しい規制の導入にもつながった。組織や個人のレベルでは、プラスとマイナスの両方の反応があった。偏見をみずから生み出したことへの失望、自分は関与していないという拒絶、事実に対する驚き、ようやく性差別が明らかになることへの安堵などだ。

 もちろん、我々の分析は特定の融資者だけに焦点を当てたものなので、一般化するには限界があるだろう。ただし、我々の調査は概して、言葉によるステレオタイプ化が、男性に対する真の起業家としてのイメージを裏打ちする一方で、女性起業家に対するイメージを損ねることを示唆している。こうしたステレオタイプなイメージは、資金の分配に影響を及ぼすだけでなく、さらに重大な結果を招くおそれがある。

 政府系ベンチャーキャピタルの存在目的とは、社会全体のために成長を刺激して価値を創造するように税金を活用することだ。そう考えると、性差別は最も可能性を秘めた事業に税金が投資されないリスクをはらんでいる。これは女性起業家に損失を与えるだけに留まらず、社会全体に損害をもたらすことになりかねない。


HBR.ORG原文:We Recorded VC’s Conversations and Analyzed How Differently They Talk About Female Entrepreneurs, May 17, 2017.

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マリン・マルムストルム(Malin Malmstrom)
ルレオ工科大学のアントレプレナーシップ&イノベーション学教授。

ジーネス・ヨハンソン(Jeaneth Johansson)
ハルムスタッド大学とルレオ工科大学の会計管理学教授。

ヨアキム・ウィンセント(Joakim Wincent)
ルレオ工科大学とハンケン経済大学のアントレプレナーシップ&イノベーション学教授。