これに対し、より有効だったのは職場の結びつきだ。報告者の60%超は、転職先を見つける際に助けてくれたのは過去に一緒に仕事をした人だったと述べた。これは同僚とは限らず、以前の上司や過去のクライアントも含まれる。だが、求職者が最も役立ったと感じたのは、転職志望者である自分が1人の働く者として、および同僚としてどんな人間かを、豊富な知識と説得力を持って語ってくれる人であった。

 これは、1970年代に比べると著しい変化である。その最も明白な要因は、劇的に変貌したメディア環境だ。

 グラノベターが調査を実施した時分には、新たな仕事を見つけるうえでの大きな課題は、その仕事の存在自体を知ることであった。1970年代には、人々が仕事を見つける際に頼ったのは、新聞広告や求人の貼り紙やクチコミだった。しかし今日では、転職情報を知るのはたやすい。求人広告をオンラインで見つけたり、企業のウェブサイトで職種の一覧を検索したり、採用担当者から接触を受けたりする。

 これは新たな問題にもつながっている。つまり、あまりに多くの人が同じ仕事に応募してしまうのだ。大方が承知しているように、いまや転職において困難なのは集団から抜きん出ることだ。履歴書の束のなかで目立つよう工夫したり、面倒な採用管理システムをすり抜ける方法を何とか見つけたりするなどである。

 採用担当マネジャーも同じ問題に直面している。履歴書、添え状、限られたアプリケーションソフトに基づいて、何百という志望者を選り抜かなければならない。このときに最も貴重とされるのは、志望者を働き手として実際に知っており、優れた人材だと保証できる人からの強力な推薦なのだ。

 このようなつながりは重要ではあるものの、留意すべき点がある。人脈を通じての就活に伴う最大の問題の1つ、すなわち「転職先候補となる企業はどれも比較的似てしまう」という結果は変わらないかもしれないということだ。

 グラノベター自身も気づいたことだが、人々が弱い結びつきによって職を得ていても、人脈づくりによって転職先候補の構成が変わるわけではなかった。結局のところ、有色人種や労働者階級出身者が1人も採用されないような職場なら、そこに就職口があるという情報を提供する人もその分限られるだろう。

 今日では、推薦のあり方に潜在するバイアスのほうが大きな問題だ。つまり、人は自分が一緒に働きやすかった元同僚を推薦する傾向がある。人脈を通じた求職では転職先候補の多様性がなくなる、という問題は、職場の結びつきに頼っても解決されない。ただ問題の所在が変わるだけなのだ。

 このように、推薦は事実上、採用における重要な部分である。同時に、異なる背景や視点を持つ人が職場から排除される要因でもある。このため、推薦の判断には高度な倫理観が問われるのだ。採用の決定に携わる人はみな、誰が、なぜ推薦されているかを慎重に考えなくてはならない。そして人脈に頼る求職者は、弱い結びつきを完全に諦める必要はない。17%の人には有効なのだから。

 しかし究極的には、職場の結びつきのほうが重要だろう。職場で育める人間関係は、自分の現在の労働状況のみならず、将来どんな仕事を得られるかにも関わってくる。今後望ましい仕事を得るチャンスを高める最善の方法は、いまの仕事で同僚たちを大事にすることだ。


HBR.ORG原文:“A Friend of a Friend” Is No Longer the Best Way to Find a Job, June 02, 2017

■こちらの記事もおすすめします
マネジャーは、転職を望む部下の最初の相談相手になろう
人脈づくりが苦手な人には「5つの誤解」がある

 

イラナ・ガーション(Ilana Gershon)
インディアナ大学の人類学准教授。人々が求職や離別といった複雑な社会的課題において、新たなメディアをどう活用しているかを研究している。著書にDown and Out in the New Economy: How People Find (or Don’t Find) Work Today(未訳)などがある。