第1に、コンサルタントを雇用するかどうかの決定は、企業の戦略に応じて下すべきである。目的とするのが業績の改善であるならば、企業はコンサルタントの雇用を検討すべきだ。目的が「傑出した」業績を達成することであるなら、コンサルタントを雇うことで「安全策を講じる」のは正しい判断とは言いがたい。コンサルタントの助言は独自性が高くないため、実際には成功の妨げとなりうるのだ。

 アップルのCEOであったスティーブ・ジョブズが、かつてこう説明している。「我が社はコンサルタントを雇いません。一度だけ雇ったのは、競合するゲートウェイの小売戦略を分析するコンサルティング会社でした。アップルの小売店舗の出店時期について、ゲートウェイと同じ過ちを犯したくなかったので。ですが、我が社は基本的にはコンサルタントを雇いません。ただ優れた製品をつくりたいだけです」。

 重要なのは、独自性が成功の保証ではないことだ。失敗につながることもありうる。アップルの製品のいくつかは大成功を収めているが(Apple II、Mac、iPod、iPhone、iPad)、一方で完全な失敗に終わったもの(Lisa、Newton、eWorldオンラインサービス)もある。

 第2に、コンサルタントを雇用するかどうかの決定は、企業のリソースの質に応じて下すべきである。リソースの質が低い企業は、リソースの質が高い企業と比較して、コンサルタントの助力からより大きな恩恵を得られる傾向にある。クライアントのリソースの質が低い場合、コンサルタントには、みずからのベストプラクティスを活用して価値を付加する余地が大いにある。このため、彼らが業績に及ぼす(プラスの)影響は非常に強烈だ。質の高いリソースは、質の低いリソースと比較して、どのように管理されようとも生産性が非常に高い傾向にある。したがって、コンサルタントがベストプラクティスを導入して業績を高めるチャンスは少ない。

 しかし、私の調査からは、企業がコンサルタントに関する決定を、このような合理的な方法で下していないことも明らかになっている。実際には、最高のテロワールを持つワイナリーのほうが、コンサルタントを雇う可能性が高かった。コンサルタントの助言から得るものは小さいにもかかわらず、だ。このようなワイナリーには潤沢な資金があることが、その理由と思われる。対照的に、リソースの質が低い企業は、収益性も低い傾向にあり、コンサルティング料を支払う余裕もなかった。

 矛盾しているのだが、必要とする助っ人を雇える可能性の低い企業こそが、コンサルタントから大きな恩恵を得られる企業なのである。


HBR.ORG原文:Does It Pay to Hire Consultants? Evidence from the Bordeaux Wine Industry, May 19, 2017

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コンサルティング業界は変われるか

 

ジェローム・バルテルミー(Jerome Barthelemy)
エセック・ビジネススクールの戦略・経営担当教授。著書のLibérer la compétitivité(英書名Unleash You Company’s Competitive Spirit [Pearson、2016])は、2017年にフランスのベスト経営書賞を受賞している。