私は陰謀論を大げさに吹聴したくはない。一般搭乗者の電子機器が被害に遭うおそれは、まだ比較的低い。しかし、一部の人々については、ノートPCに入っている情報はきわめて重要で、危険にさらすわけにはいかないだろう。

 電子機器の預け入れ義務をすでに経験している人、特に重要なビジネス拠点であるドバイ、アブダビ、ドーハ、リヤドなどの便を利用する人は、いくつか予防策を講じることができる。大切な知的財産とビジネス情報を管理する方法は以下のとおりだ。

●原則として、『ニューヨーク・タイムズ』紙の一面に出るとまずいような情報はPCに入れて持ち運ばないこと。

●ノートPCを預ける前に、機密性の高いファイルをすべて削除する。これはハードディスクドライブのデータも同様だ。機器が複製されれば、削除済みファイルは回復できるからだ。

●USBで繋げる暗号化された外付けハードディスクドライブを使う。基本的にパソコンの頭脳を本体から切り離しておこう。

●出張の前と直後にウイルススキャンを実行する。

●自社専用の暗号の作成を検討してもよい。名前、場所、日付、金額などを別のものに見せかけるのだ。

●中東や欧州から米国に飛行機で戻る際、是が非でも電子機器を手放すわけにいかない場合には、太平洋路線の利用を検討しよう。

 航空機の搭乗者の安全を守るべく、米国とトランプ政権があらゆる予防策を講じたいのは十分に理解できる。だが、1つ安全対策をつくれば、往々にしてそれと同等かそれ以上のしわ寄せが生じることを肝に銘じておくべきだ。

 ノートPCの機内持ち込み禁止が欧州便に拡大されれば、物理的な安全対策は向上するが、経済・産業スパイ活動に対する脆弱性は高まるだろう。


HBR.ORG原文:How an Airplane Laptop Ban Would Expose Company Data to Espionage  May 25, 2017

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ルーク・ベンシー(Luke Bencie)
セキュリティ・マネジメント・インターナショナルのマネージング・ディレクター。グローバルに活動する安全コンサルタントとして、顧客の代行で100以上の国々に渡航。著書にAmong Enemies、Global Security Consulting、The Clandestine Consultantがある。