従業員は自分のスキルに自信を持ち
企業は仕組みづくりをする

 生産性とは、付加価値を労働量で割ったものと定義づけられる。今、日本全体で取り組みが進む働き方改革、雇用改革は、えてして労働量の低減(労働時間の削減、機械化によるインプット量の削減)に終始しがちだ。スキル革命では、見過ごされがちなもう一つの変数である付加価値に着目し、それを最大化することで生産性向上につなげようという考え方だ。

 だが、スキル革命に取り組む前に、労働者と企業には2つの課題があるという。1つは「スキルの活かし方がわからない」、もう1つは「保有スキルやキャリアプランに合わない働き方」。いずれも労働者側の悩みだが、そこには企業の仕組み不足という問題が隠されている。

 あるグローバル調査によると、「自分のスキルはどの会社でも活かせるか? この会社だからこそ活かせるのか?」という質問に、日本は「この会社だからこそ活かせる」と答えた人の割合が44%と他国に比べて非常に高い。自分のスキルは他の会社では活かせないと思っている人が多いわけだ。

「この背景には、海外ではポジションごとに仕事が明確に定義されているのに対し、日本は人に仕事がつくといわれており、仕事の区分があいまいになりがち。そのため、同じ職務でも会社によって仕事内容が異なることが多く、他社でも適用できる汎用的なスキルの可視化・見極めができていないのではないでしょうか」(高砂氏)

 また、以上のような理由から転職が難しいと思われがちだが、前述したとおり、職業人生と企業寿命のギャップは拡大しているため、これからの時代は「職業人生を1つの企業で」というわけにはいかないのだ。

 一方、キャリアに合わない働き方については「長期雇用を前提とした人材育成」が障害になっているという。

「各国の平均昇進年齢を比べると、日本は長い間、経験を積まないとキャリアが上がっていかないという傾向が非常に強い。こうした時間をかけた育成も、労働者の柔軟なキャリアプラン実現を妨げていると考えられます」(高砂氏)