領域拡大で、次の成長ステップへ

 新規事業として成功した後、いわゆる「成功の罠」にはまらず、さらに継続して成長して行く方法も詳述している。たとえば、周辺領域への事業の拡大である。結婚を考えているカップルと結婚式場を結びつける事業を創造したゼクシィの事業部は、その周辺領域に「結婚相手がいない男女」を見出し、婚活サービス事業へと拡大している。

 また、企業としてもリクルートは、新事業の拡大のためにユニークな策を講じている。市場を創造し、成功した新規事業は、いずれ、他の新興企業に攻められることになる。その1つのパターンである「破壊的イノベーション」(ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱した)への対策として、リクルートは、そうした破壊者の競合企業を買収して、グループの中に取り込んでしまう場合がある。

 競合企業をつぶすためではない。その買収した企業に対して、付加価値を高めるためのノウハウをリクルートから移植して収益性を高めると同時に、買収した企業のイノベーションが市場を席巻するようになる変化に備えるためである。この策については本書では、リクナビNEXTと競合する求人検索エンジンの米国インディードの買収を事例にして説明している。

 もちろん、こうした仕組みがわかっても、ここに明かされた施策の実践は簡単なものではない。周知の通り、やみくもに新規事業の創造を従業員に奨励しても、結果が出るものではない。しかし、ここに書かれているのは、多くの実績があるリクルートのメソッドである。まずはトライしてみる価値があるのではないだろうか。