●目先の利益を活かして粘り強さを高めよう

 重要な目標に向けて粘り強く取り組めるよう促すために、上記の知見をどう活用できるだろうか。

 私たちが行った別の研究では、学生と成人800名を対象として4つの実験を行った。そこでは、以下の3つの戦略を提案した。

 第1に、目標達成のための行動を選ぶときは、楽しさを考慮すること。たとえば、ジムの利用者が楽しいからという理由でウェイト・リフティングを選ぶと、トレーニング回数が増える。楽しさで選んだ場合、効果的だからという理由で選んだ場合と比べて、実際に行ったトレーニング回数が平均で52%も多かったのである。したがって、トレーニング量を増やしたければ、楽しめるフィットネス・クラスを選ぶのがいいだろう。仕事で成功したいなら、楽しめる仕事と仕事環境を見つけるのがよい。健康的な食生活を送りたければ、好きな食品を中心に食事を組み立てるのが得策だろう。

 第2に、長期的な目標に向けて努力するときには、すぐに手に入るメリットを増やすこと。高校生が数学の宿題を解くとき、音楽をかけたり、スナック菓子を食べたり、カラフルなペンを使ったりすると、宿題に取り組む時間が長くなるという研究結果がある。すぐ手に入るメリットがあると、難しい課題も、仕事というより楽しみに思えてくるのだ。運動するとき音楽をかけたり、お気に入りのコーヒーショップで仕事をしたりすれば、より楽しめるようになり、目標への努力を続けやすくなるだろう。

 第3に、目標に向けて努力する際に、どんなメリットがすぐに手に入るのかを熟慮すること。たとえば健康的な食生活を目指すとき、おいしいと感じるものを食べるようにしている人は、健康上のメリットだけに着目する人と比べ、健康的な食品を50%近く多く食べていることがわかっている。目標を追求する際には、目標に沿った範囲で心地よい体験を探すようにすれば、より粘り強く取り組める可能性がある。

 目標を設定することは、自分が望む最終的な結果を達成するための最初の一歩である。しかし、すぐに手に入るメリットや日々の楽しみを回避すると、かえって目標達成を遠ざけてしまう場合がある。いまこの瞬間の体験をよりやりがいのあるものにすることで、目標を達成できる確率は高まるだろう。


HBR.ORG原文 What Separates Goals We Achieve from Goals We Don’t  April 26, 2017

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ケイトリン・ウーリー(Kaitlin Woolley)
シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスの行動科学における博士学位論文提出資格者。

アイエレット・フィッシュバック(Ayelet Fishbach)
シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスのジェフリー・ブレーケンリッジ・ケラー記念講座教授。行動科学およびマーケティング論を担当。