この結果は特に、精神の健康において顕著だった。1年間のフェイスブック利用指標のほとんどは、翌年の精神状態の悪化につながっていたのだ。そして他者の投稿への「いいね!」、およびリンクのクリックはどちらも、自己申告による「身体の健康、精神の健康、生活の満足度」の低下と一貫して相関することがわかった。

 現実のネットワークに関する指標は、フェイスブックの使用基準に照らして調整した。回答者の調査開始時における幸福度、現実のネットワーク、フェイスブックの利用頻度を考慮してもなお、利用の頻度が増えると以後の幸福度の低下につながる傾向が見られた。これは、フェイスブックの利用と低い幸福度の相関は可変的であるという証拠となる(訳注:「幸福度がもともと低い人は、フェイスブックにはまりやすい」という可能性を考慮してもなお、フェイスブック利用増は彼らの幸福度をさらに低下させる)。

 我々の研究からは、フェイスブックの利用が幸福度の低下につながりそうだと示すことができるが、それがどのように生じるのかは確定できない。測定した3つの指標、すなわち「いいね!」した数、本人の投稿数、リンクのクリック数の間に、利用者への影響の差異はあまり見られなかった(ただし「いいね!」とリンクのクリックは、幸福度の低下との相関が一貫してより顕著ではあるが)。

 このことは興味深い。他者の投稿への「いいね!」は、「それに比べて自分は」というネガティブな感情を引き起こし、ひいては幸福度の低下を招くだろうというのは我々の想定内であった。しかしそれは、自分の近況アップデートやリンクのクリックにも共通するようなのだ(とはいえたしかに、近況の更新は他者との比較の結果とも考えられる。「他人にどう見られるか」を基準に、フェイスブック上の自分のイメージをつくり上げるからだ)。

 また我々の結果は、幸福度の低下はソーシャルメディア利用の「質」だけでなく、「量」の問題でもあることを示している。もしこれが正しければ、ソーシャルメディアで問題なのは交流の質であり頻度は関係ない、という従来研究報告と相反している。

 今回の研究結果は、フェイスブック以外のソーシャルメディアにも当てはまるかもしれない。他者のきらびやかなプロフィールがユーザーの自己卑下につながるプラットフォームは多くあり、そこでは利用頻度は常に問題となるだろう。

 画面を見ている時間が増えることはそもそも問題となりえるが、ソーシャルメディアの厄介なところは、その使用中は有意義な社会的交流をしているという印象を抱いてしまうことだ。しかし我々の研究結果では、この種の交流の内容や質は、人が健全な生活を送るのに必要な現実世界での交流を代替するものではないことが示されている。

 オンラインでのソーシャルメディア利用に関する全容は、当然ながら複雑である。入念に選ばれて投稿された他者の生活のイメージを見れば、自己卑下につながる。ソーシャルメディアの交流が増えれば実生活における有意義な経験が損なわれるかもしれない。

 だが何よりも明らかなのは、オンライン上の交流は生身の人間関係とは違うということだ。


HBR.ORG原文:A New, More Rigorous Study Confirms: The More You Use Facebook, the Worse You Feel  April 10, 2017

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ホリー B. シャキア(Holly B. Shakya)
カリフォルニア大学サンディエゴ校グローバル公衆衛生学助教。ソーシャルネットワークの分析と社会規範論が専門。現在は米国立衛生研究所が出資するプロジェクトで、発展途上国の若者の出生率にソーシャルネットワークと社会規範が及ぼす影響について調査している。

ニコラス A. クリスタキス(Nicholas A. Christakis)
イェール大学ヒューマン・ネイチャー・ラボの責任者で、同校ネットワークサイエンス研究所の共同ディレクター。同校ソル・ゴールドマン・ファミリー記念社会・自然科学講座教授。社会学部、医学部、生態学・進化生物学部、生体工学部で教鞭をとる。