意志ある「寄り道」を笑うべきではない

 日本でも長らく、大学教育のあり方が議論され続けている。しかし残念ながら、その改革がなかなか進んでいないのも事実ではないか。そこにはもちろん、大学側の課題だけでなく、いまだ新卒一括採用を正解とするなど企業側の課題もあるだろう。

 初代のフェローであるデイル・スティーブンズは、「学生が知的寄り道をすることはいいことだ」と言う。大学教育そのものを否定するわけではなく、絶望的な大失敗すら将来の糧にできる20歳前後のうちに、あえて規定のコースを外れるという選択肢があってもいいということであろう。

「20 under 20」のフェローに選ばれた者の中には、プログラム終了後に大学に通い直す人物もいる。その理由はさまざまだろうが、本書では、最初に描いたアイデアの実現に行き詰まって挫折感を抱く人がいることも、そこから抜け出すのに時間がかかるケースがあることも示唆されている。しかし同時に、世間一般の価値観に流されず、10代でみずからの進路を決断した経験は、何にも代え難いと考える人物が多いこともうかがえる。

 誰もがクレイジーにはなれないし、その必要もないだろう。また、何の志もビジョンもなく、ただ道から外れることが賞賛されるのであれば、それには違和感を覚える。だが少なくとも、覚悟を持って挑戦した人間が厳しい結末を迎えたのであれ、それを未熟だと嘲笑する社会に前進がないことも確かではないか。