BIとIoTを組み合わせ
新しいビジネス価値を追求する

 IoTデータをはじめとするビッグデータをAIで分析し、ビジネス価値を創出するための方法論として、デリバリーコンサルティングは「AI in BI」アプローチを提唱している。

 BI(ビジネス・インテリジェンス)はすでに多くの企業に広まっている。会計や購買、生産管理といったさまざまなシステムからデータを抽出し、分析・加工して企業活動の可視化や意思決定に生かすのがBIである。多くの企業でBIツールがすでに導入されているが、実際には単なる集計ソフトとして利用されているケースも少なくない。そんな中、デリバリーコンサルティングはBIに別の角度から光を当てようとしている。

「現場情報であるIoTデータと、BIが扱う業務システムのデータを組み合わせることで、新しい価値創造への道が開かれます。店舗を例にとると、カメラで顧客の行動データをとらえた上で、ID―POSのデータと紐付ければ価値の高い情報になります」(阪口氏)

 例えば、「AさんはジュースXとパンYを購入した」という関連購買情報は、ID―POSのデータで把握することができる。これにカメラがとらえた行動データを加えると、「Aさんはジュースとパン、スイーツの棚を見て、ジュースXとパンYを購入した」といったことが分かる。「Aさんはスイーツの棚を見たのに、そこでは何も買わなかったとすれば、スイーツの品揃えに問題があるかもしれないと推測できます」(阪口氏)

 小売業ではID―POSの普及が進んでおり、「どの顧客がいつ、何を購入したか」を把握できる環境を整えてきた。しかし、店内での顧客の動き、「手に取ったが買わなかった」といった情報をつかむことはできなかった。IoTデータを組み合わせてAIで分析すれば、より適切な現状把握と、売上げや利益の向上に向けた仮説立案・検証の高速化が可能になる。店舗レイアウトや品揃え、販促などの“打ち手”について、確かなデータに基づいてより高い精度で仮説を立て、その結果をすぐに確認できるわけだ。

 工場でも大きな可能性がある。生産ラインの各所にセンサーやカメラを取り付けて稼働状況をモニタリングし、AIを活用して異常値を検出する。BIの扱う生産管理システムなどのデータを組み合わせれば、データの価値はさらに高まる。やがては、歩留まり向上などの効果も実現できるだろう。

 企業システムが生成するデータとIoTデータは、必ずしも同じ場所に格納される必要はない。それらを仮想的に統合し、AIで分析してBIの機能を用いてビジュアライズする。これが「AI in BI」の考え方である。

「従来、発見した課題に対してどのような対策を打つかは専門家の手に委ねられてきました。いわば、暗黙知の世界です。ここにAIを導入すれば、どんな対策を打ったときに指標がどう変化したかをすべて学習した上で、次の課題に対する打ち手の候補を提示することができる。専門家の暗黙知をだれもが使える形式知に置き換え、なおかつその精度を高めることもできるのです」(阪口氏)

 さらに、RPA(Robotic Process Automation)を組み合わせて、一層の生産性向上を図ることもできる。例えば、RPAを活用して分析結果を担当者に自動配布し、業務効率を高めることも可能だ。