チャンスを活かすには変革が必要

 このようにわかりやすい事例から始まって、それを読者が総体として、あるいは一般的に捉えられるように、C(Casual)の世界とS(Serious)の世界という軸を提示している。すなわち、Cの世界はインターネット企業が得意としてきたバーチャルでカジュアルなサービス領域で、Sの世界は医療や自動車の運転のような人命にかかわるような真摯な領域である。そして、このSの領域では、きちんと機械が動くことや信頼性の高い現場の整備などが求められ、日本企業が相対的に得意な分野である。

 とはいえ、勝ち組となるポイントは、AIなどの革新性の高い技術や道具を、従来の得意分野できちんと活用していくことであり、そこは、まさしく経営者やリーダーの能力が問われるところである。

 そこで求められることを、本書では「おわりに」のパートで、次のように表現している。「日本企業の多くが持っている『シリアス』で『アナログ』な組織特性を活かしつつも、デジタル革命の特性である、オープン性、多様性、非連続性、柔軟性、迅速性、果断性を日本企業とその構成員の遺伝子レベルで浸透させなければならない。この成否が、デジタル革命第三期において、『創造的破壊』をする側とされる側の分かれる道となる。これこそが経営者のミッションなのだ」。

 そして個人として求められることは、「リーダー人材、エリート人材自身の働き方、生き方を、大きく変革しなくてはならない」。日本社会や日本企業に与えられたチャンスを活かすには、変革が必要なのである。