不完全ではあるものの、科学的研究によると完璧主義は遺伝的素因、親の行動あるいはその模倣、社会文化的な要因の組み合わせによって生じる。完璧主義の親は、自分自身のパフォーマンスに対して抱く、精神的苦痛や不安を子どもに引き継ぐうえ、子どもに対して批判的で要求が高く、十分な支援をしないという研究報告がある。完璧主義の親は、完璧なパフォーマンスに対する褒美として、愛情や承認を利用しがちだ。子どもが不完全だったり間違いを犯したりした場合、親の露骨な落胆や不安は子どもには拒絶と映る。

 性別も関わりがある。女性のほうが親(特に母親)の完璧主義を「受け継ぐ」傾向が高いだけでなく、能力に対する多くの先入観やステレオタイプにも直面する。そのため、女性は完璧な成果を目指さなくてはという思いにいっそう駆られることになる。

 なかでもたちが悪いのは、「今回もうまくやらなければ」という思い込みだろう。男性と等しい能力があると認められるためには、女性は繰り返し高い能力を示すよう求められることが多い。男性は潜在的な能力を評価される傾向があるが、女性は成果を評価されるのだ。さらに、女性に対する成果基準は厳しくなりがちである。男性の大失敗は許容されたり、忘れられたりするのに対し、女性が引き起こした間違いは細かく調べられ、いつまでも忘れてもらえない。こうして女性は、自己批判的な完璧主義を追求するようになるのである。

 伝統的に男性優位の組織や職業では、女性はインポスター症候群(訳注:自分を過小評価し、優秀なふりをしている気持ちにかられる症状。詐欺師症候群ともいう)に陥りやすい。こうした状況では、極めて有能で高い実績を挙げている女性でさえ、自分はこの場にふさわしいだろうか、自分は成功や実績に値する存在だろうかと疑念を抱くおそれがある。そのような内なるジェンダーバイアスに、職場での外からのステレオタイプが加わると、女性は自己不信や自己批判を抱き出し、実現不能な成果基準を設けるようになる。

 完璧主義者のメンタリングやコーチングは難しい。生産的かつ有意義な関係は、透明性や相互利益、率直さ、そして信頼に基づいている。ところが完璧主義者は、成長や発展ののびしろがあることをメンターに決して見せようとしない。弱みについても話そうとしない。そうやって完璧主義者が必死に完璧を装おうとすると、メンタリングやコーチングは十分に真価を発揮できないおそれがある。メンターが指導相手の完璧主義を見抜き、不完全であることを受け入れるよう勧めても、相手は抵抗するだろう。

 では、どうすればよいだろうか。職場をじわじわとむしばむ完璧主義の弊害を克服すべく、不完全だが有益な方策をいくつか紹介しよう。