自社の将来像を作るヒントは現場にあり

PwCコンサルティング
Strategy&
シニア・エグゼクティブ・アドバイザー
岸本義之氏

 第5の行動様式である「将来像を自ら作り出す」には、どうすればよいのか。

 この問いに対してロビンソン氏は、家具の製造・小売り世界大手イケアの事例を紹介した。イケアは、「信頼に基づいた顧客との強い関係性」という強みを活かし、顧客のニーズを定義、新たな需要を創出するため、消費者宅に家庭訪問を行っている。

 「顧客の生活を深く理解することは、顧客の願い、行動の理解へとつながり、その理解が顧客のニーズを定義した新たな製品を生み出しています」。

 多くの国々では、この手法がうまくいっているが、日本ではまだこのレベルには至っていないという。「現在のケイパビリティを使って、さらに大きな市場を開拓できるか注目されます」と話した。

 ヴェレトフゥン氏は、新興国市場への展開に成功した化粧品メーカーと、トータル・ビバレッジ・カンパニーを目指す飲料メーカーの事例を紹介。「将来像を自ら作り出すには、現状の成功に決して満足することなく、さらに良くなろうとする強い気持ちを持っていること。市場において常に変化をリードすることが重要です」と訴えた。

 一方、足立氏によれば「将来像を作り出す」ために、日本マクドナルドではマーケティング部の役割転換を行ったという。

 従来は、期間限定商品のプロモーションから定番商品まで、あらゆる商品・サービスのマーケティングを同じチームで行ってきたが、中長期的な施策が打てていなかった。

 そこで、期間限定商品と定番商品のマーケティングチームを別々に組織するとともに、それ以外にも中長期的なアライアンスやマーケティング・プランを考えるチームを設けた。

パネルディスカッションの様子

 「毎月のプロモーションを担当していると、目の前の仕事が忙しくて、来年のことなんて考えられないわけです。組織を見ながら、プライオリティに応じて、チームを再編したり、人材を再配置したりすることが不可欠です」。

 機能分化を進めることで役割が明確になり、それぞれのチームがそれぞれのゴールに向けた準備ができる。

 「経営トップではなくても、自社の将来像を考え、実践することは可能。そのヒントは2つあります」と話すのは岸本氏。

 1つは、「前例にとらわれないこと」。自社の強みは何か、外部の視点も交え客観視することが重要だという。もう1つは、「現場の困りごとを徹底追究すること」。マクロからミクロのレベルまで、さまざまな困りごとを分析し、自社の強みを活かしながら、これを解決する手法を考えていく。

 「お客さまについて知る努力をいとわない点は、日本企業の良いところでもあります。現場に行けば、将来像を形作るヒントは必ず見つかります」と語り、議論を締めくくった。

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