自社の強みにフォーカスした日本マクドナルド

日本マクドナルド
上席執行役員
マーケティング本部長
足立光氏

 第3部では、Strategy&のディレクター、堤俊也氏をモデレーターに、日本マクドナルド上席執行役員マーケティング本部長の足立光氏、Strategy&パートナーのスティーヴン・ヴェレトフゥン氏、同シニア・エグゼクティブ・アドバイザーの岸本義之氏、同マネージングディレクターのマーク・ロビンソン氏をパネリストに迎え、特に第1と第2の行動様式に焦点を当ててパネルディスカッションが行われた。

 高収益企業に共通する「5つの行動様式」のうち、第1の「自社の独自性を貫く」について、ロビンソン氏はファイザー・コンシューマー・ヘルスケアの事例を紹介。同社は、「顧客に実証可能な効能のある製品を開発、提供する」というアイデンティティを構築するために、「たとえば、洗口液の広告宣伝では、口腔ヘルスケアという方向で捉え直し、歯ブラシとデンタルフロスだけの時と比べて歯垢の除去率が52%増え、歯周病が21%減少する点を訴求した」と説明。

 ヴェレトフゥン氏は、米国ジョンソンコントロールズの事例を紹介。1980年代、同社の自動車部品部門は自動車用バッテリーに加えて、自動車シート事業に買収を通じて参入したが、自らの価値提供をどのように構築していくかという大きな課題が突きつけられた。

 「同社には優れた洞察力があり、自動車シートは自動車に対する顧客満足度において非常に重要性が高く、ドライバー以外の家族や子どもも重要ということです。さまざまな消費者にとって満足度が高い自動車シートを徹底して調査・分析して、製造・開発に活かし、自動車メーカーに能動的にシート仕様を提案していきました。カスタマーインサイトというケイパビリティを磨きながら、アイデンティティを確立し、将来像をつくり出した好例と言えるでしょう」とヴェレトフゥン氏。

PwCコンサルティング
Strategy&
パートナー
スティーヴン・ヴェレトフゥン氏

 日本マクドナルドの足立氏は、同社における最近の事業改革を紹介しながら、「自社の強みが大事」であることに同意を示した。

 「消費者の声を聞くと、健康志向が高まっていますが、そこではマクドナルドは必ずしも強みを発揮できません。我々の強みは、むしろ『おいしいから、つい食べてしまった』という一種の背徳感です。そこで新製品の開発コンセプトを、思わず食べたくなるようなおいしさ、に大きく舵を切りました」。

 真面目一辺倒のマーケティングでは面白みに欠けるということで、「怪盗ナゲッツ」や「裏メニュー」、「マックシェイク森永ミルクキャラメル」など、遊び心あふれるキャンペーンを矢継ぎ早に展開。「名前募集バーガー」や「マクドナルド総選挙」など、SNSなどを活用し、ファン参加型のイベントも実施した。「消費者の声を聞くことも大事ですが、それ以上に自社の強みにフォーカスして施策を打ってきたことが、成果に結びついたのだと思います」と語った。

 これを踏まえ、岸本氏は「日本企業にとって独自性を貫くことは難しい。同業他社とどう違うのかを、まずは社内に浸透させること。自社の強みが発揮できる、共通性の高い事業に集約していくことが重要です」と指摘した。