異質な存在が創造性につながる

 筆者は「類似点は人間関係のバランスを保ち、相違点は二人を前進させる」と表現するが、これは個人対個人に限らず、組織が創造性を発揮するうえでの一つの鍵になるのではないか。

 DHBR.netの記事「多様性に伴う『居心地の悪さ』こそチームの成果を高める」でも論じられているが、似たようなメンバーで構成されるチームは居心地がよい反面、まったく新しい何かを生み出すうえでは理想とは言えない可能性がある。むしろ、自分とは異なる感性を持つメンバーと協働することで、不快感を伴う対立も生まれるかもしれないが、それが発想の枠組みそのものを破壊してくれるチャンスを生む機会にもなる。

 個人対個人には距離が近すぎるからこその難しさもあり、組織対組織には人数が多すぎるゆえに合意形成がより困難にはなるだろう。いずれにせよ、異質な存在を受け入れることは簡単ではない。だが、非線形の変化が求められるいま、創造性の発揮は喫緊の課題でもあり、もはや避けて通ることはできない選択である。

 日本でも昨今、ビジネスエコシステムやオープン・イノベーションの議論などを通して、異質性を大切にする動きはいっそう加速しているように思える。いまこそ、従業員の女性比率の向上という狭義の多様性の議論を超えて、本格的に同質性を破壊する挑戦に踏み出すべきではないだろうか。