我々の研究で見られた特に大きな相違点の1つは、製品が「マスマーケット(大衆市場)向け」かどうかという特性だ。中国人は、ある製品がマスマーケット向けであるという事実のみをもって、それが創造的である証拠だと考える。他方、米国人は、マスマーケット向けにつくられている製品は創造的ではないと捉える。

 ここで、期待ほど売上げが振るわなかった、アップル・ウォッチを考えてみよう。アップル・ウォッチは同社初のマスマーケット向けウェアラブル端末として宣伝されていた。アップルと聞けばクリエイティビティや新しい発想(Think different)を連想する米国人にとって、「マスマーケット」という言葉で製品を売り込まれてもしっくりこない。アップル・ウォッチが米国で期待外れに終わった理由はここにあると、私は考えている。皮肉にも(我々の研究結果によれば)、中国でならこの同じ広告戦略が非常にうまくいくかもしれない。

 もう1つの重要な特性は、製品が「有名なブランド品/メーカー品」として売り出されているかどうかである。中国では、有名ブランドであることを打ち出す(または想起させる)のは、創造性との相関が非常に高い。しかし米国人の70%にとっては、それが創造性への判断にマイナスに働くことがある。すでに実績ある製品とは対照的な、創造性に富む新製品を売りたいなら、ブランド力を打ち出すことで米国人に「非創造的」と認識されるおそれがあるのだ。

 米国と中国で見解が分かれたポイントは、他にもいくつかある。たとえば、あるアイデアが高いレベルの「社会的承認」を得ている場合(フェイスブックの「いいね」の数、キックスターターの出資者数、ダウンロード数など)、中国人はそのアイデアが非常に創造的だと考えるが、米国人はそうではない。

 同じように、「おしゃれ」(流行に乗っている)、「評判・信用が高い」(有名人が推奨しているなど)、「高度の生産実現性」(安価・容易に生産できる)、「広く使われている」、「使い方が簡単」などの特性を持つアイデアは、米国人にとっては創造的でないと見られる一方、中国人はこれらを創造性の証拠だと見なす。

 我々の考えでは、これらの研究結果が示しているのは、米国人にとって創造的とは「個性的(distinctive)」を意味するということだ。広い支持(流行に乗っている、有名人が推奨しているなど)、生産しやすさ、使いやすさなどを伝える特性は、その製品がありふれたもの、独自性のないものであると示していることになる。

 他方で中国の消費者は、新しいアイデアが広く支持されていないなら、創造性に欠けているのだろうと考える。そんなアイデアは注目に値しない、というわけだ。

 マーケターがアイデアを発信するとき(そして追求すべきアイデアを意思決定者が選ぶとき)は、ターゲットとなる消費者に見合った創造性の特性を強調することが肝要なのだ。


HBR.ORG原文:Chinese and American Consumers Have Different Ideas About What Makes a Product Creative  February 23, 2017

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ジェニファー・ミューラー(Jennifer Mueller)
サンディエゴ大学准教授。著書にCreative Change: Why We Resist It… How We Can Embrace Itがある。