1.組織ドメインの定義・周知・更新

 組織経営において、ビジョン(未来像)、ミッション(企業理念)、バリュー(行動基準)が重要であるということは、半ば常識のように語られている。

 経営哲学者のピーター F. ドラッカーは、著書『Managing in the Next Society(ネクスト・ソサエティ)』の中で、「未来の社会においては、大企業、特に多国籍企業にとっての最大の課題は、その社会的正当性(Social Legitimacy)、すなわちそのビジョン、ミッション、バリューとなるだろう」(筆者訳)[注2] と語っている。これは組織が社会に存在する上での立ち位置であり、その存在意義でもあり、その方向性を決定づける礎となるものである。

 この3つの階層構造を例示すると、ビジョンが実現したい将来の社会像の提示であり、ミッションがその社会を実現するための自社の役割であり、バリューがそのためにどのように行動するかを示したものである[注3]。この3つがすべて必要なわけではない。しかし、比較的規模の大きな企業の情報を参照すれば、少なくともミッションは明確に記載されているだろう。

 これらの検討に当たって本当に重要なのは、それを定義してから先の話である。多くの企業の話を聞くと、新入社員研修の訓示で軽く触れられたり、投資家向け説明資料の文言に引用されたりすることはあるものの、それ以上に用いられることはあまりないという。本来であれば、創発的な戦略の形成を助け、また組織内の多様性の緩衝材となりえる組織ドメインが十分に活用されていないのは大きな問題だ。

 その問題の源泉は大きく3つある。

 1つ目は、定義が曖昧すぎて明確なメッセージとして機能していないケースである。具体的な社名の言及は避けるが「社会をよくする」や「経済に貢献する」など、自社でなくても言える経営理念では、理解はできても行動には結びつかない。

 2つ目は、中途半端な周知にとどまっており、それを元にした人事評価基準の作成や社内言語としての浸透の支援、優秀者の表彰、社会貢献など、関連する活動との連携が行われていないケースである。逆に言えば、これらが日常業務の1つひとつの意思決定にまで浸透する企業では、その実践が評価に直結しており、意思決定の場における判断基準として明示的に参照される。

 そして3つ目は、適切なタイミングでのこれらの更新が行われないことである。組織の構成員全体で、自社の組織ドメインの設定は適切か、時代を反映しているか、自分たちにとって最適であるのか、これらを絶えず見直す機会を設定していることが重要である。更新は手段であって目的ではないものの、それを見直すプロセス自体が、組織の構成員にとって組織ドメインの役割と意義を再認識させる。結果的に更新されずとも、構成員の理解も深まり、また新鮮となる。

 図3は、アマゾンのミッション(企業理念)の骨格の変遷について、SEC filing(10-K)における記述の変化から読み解いたものである。上場時に「オンライン書店」と自社を定義していたアマゾンは、その後、音楽やビデオの販売を急速に伸ばし、さらに小売全般へと事業を広げていった。また2007年からは、これまで暗黙的に「顧客」という名称を使っていたのを、消費者だけではなく、販売業者、開発者も含めて顧客であることを明確化する。さらに2011年からは、コンテンツ生産者も顧客の一部として再定義して、現在に至っている。

図3:アマゾンのミッションステートメントの変遷

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出典:Amazon.com SEC filings (10-K)より筆者作成

 アマゾンの事例からも読み取れるように、自社の事業領域の変化に基づいて、それを適切に表現するミッション(経営理念)を柔軟に変化させていくのが理想だろう。1997年の時点で、アマゾンが「地球上で最も顧客中心の会社を目指す」と主張しても、それは大味であり、誰にも相手にされなかったはずだ。しかし、2000年代後半以降、同社の多分野における世界的な躍進を背景として、これほど大きなミッションも適切な指針として評価されるようになった。

 組織の構成員の自発的な判断と創造が重要となるからこそ、それらを束ねる組織ドメインは極めて重大となる。国際的に展開し、多様性を内包した組織に成長するほど、それは異なるバックグラウンドを持つ構成員同士が共有する基盤となり、組織ドメインは競争力の要となる。これは全社戦略の骨格として、最重要視する要素である。

2.全社機能の戦略検討

 個々の事業の支援を行う各種事業機能の方向性を検討することは、機能戦略と呼ばれている。この機能戦略は、伝統的には戦略の階層構造の下部に位置付けられていた(図4参照)。その理由も歴史的な経緯によってである。

図4:全社戦略、事業戦略、機能戦略の伝統的な階層

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出典:筆者作成

 1960年代の経営戦略自体がそうであったように、それぞれの機能の役割に関する議論が未成熟の時期であれば、機能戦略が事業戦略に従属的に存在することは理解できる。この時代ではマーケティングの概念も浸透しておらず、大量生産される商材の多くは標準品が中心であった。そのため、事業機能が組織の競争優位を左右する足腰であるという見方は一般的ではなく、差別化をもたらす源泉とは考えられていなかった。

 しかし現代においては、事業機能のそれぞれが、組織の競争力に直結するような重要性を持つ事実が広く認識されつつある。たとえば、「戦略的マーケティング」「戦略的人事」のように、各機能の名称に戦略や戦略的という修飾語をつけ、それらを個々の事業に従属した部品としてではなく、全社の競争優位に資する独立した経営機能として理解する動きが顕著である。

 最も重要な機能の1つは、やはり人事だろう。どのような人材を採用するのか。どんなトレーニングを提供するのか。いかなる制度で報酬や昇進を決定するのか。こうした意思決定は、組織の考える未来像、経営理念、行動指針と直結しており、その実現のために中核的な役割を果たす。たとえば、「創発的で自由度の高い、技術が人を幸せにする社会を目指す」という経営理念にもかかわらず、礼儀正しい“就活戦士”だけを採用し、 勤怠管理をガッチリとしながら、年功序列の賃金と昇進で評価していては、目指すべき組織ドメインにはたどり着かない。

 人事以外にも、研究開発における基礎研究、全社員が影響を受ける情報システムの設計と運用、各事業が準拠すべき会計基準や経理プロセスの設計は、その優劣が如実に企業の足腰に影響をもたらす。顧客からの問い合わせを受けたとき、瞬時に在庫状況を判別し、価格の見積もりを算出し、配送可能な日数を提供できる企業と、そうではない企業がある。毎月締め日前になると、ほとんどの社員が1日がかりで経費精算や報告書類の執筆に追われる企業と、そうではない企業もある。そして当然、両者の間には大きな格差が現れる。

 企業広告や広報渉外といった、より直接的に事業にインパクトをもたらす機能も存在する。企業全体のイメージは採用にも購買にも影響する。さらに、政府、監督諸官庁との関係性によっては、自社の事業は保護されることも、逆に改革の波にさらされることもある。

 不祥事や天変地異における危機対応も、全社戦略の要素として勘案する必要があるだろう。特に災害大国である日本に拠点を持つ多くの日本企業は、大災害への十分な備えをする必要がある。もちろん、社員の不祥事や製品の不具合に対してどれだけ迅速に行動できるかは、事業戦略の領域ではなく、全社戦略として取り扱うのが適切なはずだ。

 機能戦略は長らく、事業戦略に従属するか、あるいは独立した戦略として取り扱われてきた。しかし、これらは全社の方向性に直結し、全社の競争優位に直接的に影響を与えうる「戦略的意思決定」を多く含んでいる。そのため、機能戦略を全社戦略の重要な要素として取り扱うことで、それぞれの事業の足腰を確実に鍛え上げることができると私は考えている。

3.事業領域の設定と管理

 事業領域の設定と管理では、自社の事業の範囲を議論する。伝統的な議論では、「事業の多角化」「垂直統合」「地理的な拡大」は、それぞれ別の文脈で語られることも多い。しかし、これらはすべて事業展開の方向性であり、全社戦略における選択肢である。

 図5は、これらの3つの選択肢の関係を示した概念図である。

図5:事業展開の3つの方向性

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出典:淺羽茂・牛島辰男『経営戦略をつかむ』(有斐閣、2010年、p. 160)を参考に筆者作成

 事業の多角化、すなわち産業・市場における領域の拡大は、新規事業への参入が典型である。自社が提供していなかった製品・サービス群の提供を開始することで、自社の事業領域を拡大する。大日本印刷が印刷技術を応用して半導体製造装置の開発に乗り出した歴史や、ヤマハが楽器や家具の製造から飛行機のプロペラ、そしてエンジン開発へと事業を広げていったのは有名である。また、アップルがパソコンからスマートフォン、タブレットへと商品群を広げていったのも典型例だろう。

 垂直統合、すなわち価値連鎖(バリューチェーン)における領域の拡大は、自社がすでに提供する商品・サービスの付加価値創造の連鎖構造に、関係する他の事業を自社に取り込むことである。古くはヘンリーフォードがT型フォードを生産する際に、ガラスの精製工場や製鉄所までを傘下に収めていた事例がある。現在でも、たとえばアマゾンは、物流網が十分ではない国と地域では自社の配送網を整備している。グーグルが発電事業に参入するのも、莫大な数のサーバー群の稼働に必要な電力を自社で供給することにメリットがあるからだ。

 地理的な領域の拡大は、ときに事業戦略を超えて全社の検討事項となる。特に国内の地理的な拡大だけではなく、国境を越えて国外に事業領域を拡大していく際には、単一の事業戦略上の要請だけではなく、全社的な資源配分の調整が必要となる。

 この3つの事業展開の方向性は、同時並行で行えないこともありうる。その場合、経営者は選択を迫られる。新たな産業・市場へ事業領域を拡大することは、不確実性の最も高い方向性だが、既存事業のリスクや市場ライフサイクルとは一定以上切り離された事業領域への挑戦でもある。価値連鎖の領域の拡大は、既存事業の競争優位を一定以上活用した展開が可能となる一方で、特定の経営資源を内部に取り込むことで、本業の柔軟性が損なわれる可能性もある。地理的な領域の拡大は、この3つの中では不確実性が最も低い[注5]。

 経営資源は限られている。したがって、全社戦略は絶えず選択の連続となる。特に事業領域は、自社が好調であり、成長を志向している限りは、絶えず資源配分の意思決定を継続し続けなければならない。単一事業の競争環境のみによらず、複数事業の集合体である自社の事業領域を再定義し続けることが肝要となる。

 事業領域の設定と管理において最も難しいのは、超長期的な時代の変遷に合わせて、どのように自社の事業ポートフォリオを入れ替えていくのかである。

 経営戦略の一般的な教科書であれば、BCGマトリックスなど関連する戦略フレームワークに言及しながら、多角化した事業の管理手法を紹介するところである。ただ、その概略は第4回で解説したので、本稿では2つの顕著な事例を紹介したい。

 その2つとは、シーメンス(図6参照)とゼネラル・エレクトリック(GE)(図7参照)の事例である。これらの図は、経済産業省の資料に記載されていたものである。それを見ると、中長期的な事業構造の変化を先読みし、15年スパンでの事業構造の変革を実行したことが端的にわかる。以下、それぞれ見ていこう。

図6:シーメンスの部門別売上高の推移

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出典:経済産業省、2016年、「新産業構造ビジョン」 第4次産業革命をリードする日本の戦略 産業構造審議会 中間整理 、p.105より

 シーメンスは、2000年代には売上げの5割に満たなかったヘルスケア、工業、電力の事業領域を過去15年かけて着実に積み上げてきた。その過程では、5度にわたる大型の事業売却、2度の事業買収を行い、資金を重点領域に振り替えていった。2000年時点では主力事業の1つであった情報通信とランプ・LED事業はほぼすべて売却され、輸送領域の事業も現在は中核分野から外されている。

 興味深いのは、主力事業領域と定義された事業においても、成長可能性に限界があると判断された事業、具体的には工業のITサービス部門(2011年)と電力の原子力事業(2011年)を迅速に売却している点である。大枠の方向性とともに、各事業分野内においても、詳細にそれぞれの事業の将来性を入念に検討していると考えられる。

図7:GEの部門別売上高の推移

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出典:経済産業省、2016年、「新産業構造ビジョン」 第4次産業革命をリードする日本の戦略 産業構造審議会 中間整理 、p.106より

 GEにおける、2000年から2015年の事業再編はさらに劇的である。2000年代に至る過程でも、GEは製造業から金融業へと劇的な転身に成功していた。しかし、2000年から2015年に至る過程で、2000年に5割以上の売上に貢献していた金融事業をほぼすべて売却し、そこで得た資金をヘルスケア、航空機、エネルギーの重点3分野に振り向けている。金融事業の売却により一時売上高は大きく減少したが、2016年度の最新の数字はUSD123B(1236.9億ドル)となり、成長軌道に順調に乗っている。

 GEは、製造業領域の競争力の衰退を契機に、過去に抜本的な事業構造の転換を果たしていた。今回も、金融危機以降の融資事業における資金供給の困難さの増大、そして、政府規制の厳格化に伴い金融機関として規制対象となる可能性を理解していた。その結果、中核事業である金融事業を売却し、同時に発行済株式の20%に相当する500億ドル規模の自社株買いを実行して、投資余力を回復させる意思決定を行なった。短期的な売上規模の推移ではなく、長期的な事業の永続性を意識したうえで、同時に株主に対しても説明責任を果たす、優れた事業領域の組み替えの事例といえよう。

 これは結果論にすぎないため個別の言及は避けるが、産業構造が劇的に変化していく時代、すなわち事業ポートフォリオの動的な組み換えが求められる競争環境において、日本企業は後塵を拝している印象を受ける。

 自社事業をよい価格で売れるときには、利害関係者の反対を押し切ることができずに売却できず、全社的に追い込まれてからようやく売却を検討する事例が続発している。そして、土壇場になって1000億円規模の値下げ交渉を飲まざるを得ない状況に追い込まれた企業や、成長余力のある基幹事業を切り売りしながら、未来が見えない状態に落ち込んだ企業がメディアを騒がしている。

 日本企業は、多角化した事業の経営管理が未成熟であり、 戦略的に事業領域を管理することに慣れていなかった。その結果、雲行きが完全に怪しくなってから事業売却に迫られる悲しい事態が現在も多く見られる。ただ、第4回でも述べた通り、これは米国企業も1960年代から1970年代にかけて歩んだ道である。彼らも経営資源が無作為に分散する状況を乗り越えて、事業領域の設定と管理、再編のノウハウを蓄えていったのだ。

 当然ではあるが、必要なのはそこに教訓を得て、次に活かすことである。

4.監査・評価・企業統治

 最後の要素として、これも機能戦略の一部として取り扱われがちであるが、監査・評価・企業統治という側面も、全社戦略の範疇で議論するべき内容と考える。

 企業がその活動全般をどのように監督し、また評価するかは、企業の意思決定全般に大きな影響を及ぼす。現代社会において、国境を越えて活動する企業の中には、国家を超える力を持つと言える企業も存在する。そして企業が国家を超えるならば、企業は国家の定める法規制のみに基づかず、自発的にそれを律することで、社会厚生に資する存在となる必要がある。

 何を評価し、何を評価しないのか。この価値判断基準の検討に当たって、伝統的な会計数字だけを追うのは不適切である。みずからの組織ドメインに基づいた評価基準で絶えず自己を省みながら、多面的な尺度で自己評価を行うことが求められる。

 たとえば、コカ・コーラが自社で消費する最大の資源が水であることを認識し、水消費の効率性を2020年までに2010年の水準と比較して25%削減させる目標を掲げている事例が参考になる。単純なコスト削減ではなく、自社がもたらす社会経済環境への影響を監査し、評価したうえで、それを改善するための目標を提示して実行する。これは、企業活動の自浄作用を促進し、広くは企業社会責任にも通じる。

 また、私が英国にいた際、マッキンゼー・アンド・カンパニーの元全世界のトップ(マネージング・ディレクター)であったイアン・デーヴィスが公の場で語っていたが、マッキンゼーのシェアホルダーズカウンシル(経営会議)では、同社の卒業生がフォーチュン500の経営陣として何名在籍しているかを継続的にモニタリングしているという。卒業生が活躍することを組織の健全性の長期的な尺度として、それを評価する。単純な会計指標に基づいた企業活動評価とは異なる尺度を導入することで、その指標が改善するように同窓会組織に継続的な投資を行うなど、短期的な成果に左右されない意思決定が支援されているのだろう。

 自社事業を評価する尺度の検討に当たっては、シンプルでわかりやすい尺度を用いることが唯一絶対の正解ではない。一部の企業では依然として、比較的大きなプロジェクトでもNPV(正味現在価値)の計算が申し訳程度に添付されるにとどまり、事業価値評価が前時代的な状態のままの事態が散見されるという。たとえば、特に不確実性が高く、成功の場合にはアップサイドの可能性が極めて高い新規事業領域への投資では、DCF法(割引キャッシュフロー法)での試算よりリアル・オプション[注7]を用いた試算のほうが、(基本的には)事業特性に準拠した適切な投資価値が試算できるはずだ。さらにいえば、有力な競合が数社しかおらず、顧客に提示するパラメーター(価格や品質など)が限られるならば、ゲーム理論などの経済学の方法論も応用できる。

 企業内部でどのような尺度を用いて事業を評価するのか。その物差しが前時代的なものでは、戦略は形にならない。こうした評価基準を自社の特性に準じて適切に設計して浸透させることも、当然ながら全社戦略の範疇であると私は考えている。

 自社独自の事業実態を監査する体制整備、事業や各種取り組みの評価基準の設定、それらに基づいた企業統治のあり方を議論することが、各種の事業を展開する枠組みとしての、その組織の可能性を左右する。もちろん、監督諸官庁や証券市場など、利害関係者や関係法規制に基づいた諸規約や制度を整備するのは最低限の議論である。地道にも見える諸制度のつくり込みの積み重ねが、全社戦略という曖昧に見える存在に息を吹き込むのではないだろうか。

 以上、ここまで社会科学としての経営学の蓄積のみに準拠せず、実務的な視点から、全社戦略の範疇において検討すべき4つの要素を概観してきた。それぞれのうちどれが最も重要であるかは、その会社の置かれた状況、組織の特性、組織ドメインによって異なる。だが、そのどれもおろそかにはできないことは明言できる。

 また、前回紹介した戦略フレームワークのいくつかは、4つの要素を検討する際のいずれかに用いることができるだろう。ただし、議論の大前提として、外部環境(第5回)と内部環境(第6回)の解説で触れた各種概念を用いて、自社と、自社が置かれた事業環境を把握したうえでの議論となることは忘れてはならない。

[注2] Drucker P. F. 2002. Managing in the Next Society. Butterworth-Heinemann. p. 201.(邦訳『ネクスト・ソサエティ』上田惇生訳、ダイヤモンド社、2002年)
[注3] ビジョンとミッションが逆に提示されたり、または両者を同一のものと見なしたりする例もある。実際のところ、単一の正解は存在しない。
[注4] 同質的な構成員による事業開発を行なっている企業であるほど、組織ドメインを軽視しがちである。これは憲法のようなものである。構成員全員が信じるべき規範であり、異なる考え方や価値観を持つ多様な人材が集う組織では求心力の要となる。国際化が遅れている日本企業は、この重要性を再認識すべきであろう。
[注5] 第4回で紹介したアンゾフ・マトリックスでは、地理的な領域の拡大を市場浸透という最も基本的な成長ベクトルに位置付けている。
[注6]詳細は、<http://www.coca-colacompany.com/stories/setting-a-new-goal-for-water-efficiency>を参照いただきたい。
[注7]この概要は、早稲田大学入山章栄准教授による本誌連載がわかりやすい。入山章栄, 2015,“「不確実性を恐れない」状況は、みずからの手でつくり出せる”, DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー, August 2015. pp. 124-135.
[注8]たとえば、リアル・オプションとゲーム理論を組み合わせた「オプション・ゲーム」という考え方がある。概要は以下の記事がわかりやすい。ネルソン・フェレイラ, ジャマンティ・カー, レノ・トゥリジオリス, 2009, “オプション・ゲーム 戦略選択の分析手法”, DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー, July 2009, pp. 82-93.