これからの時代の
マネジメント手法とは

 こうした水質をつくるマネジメントを説明するために、青木氏は同社の基礎理論である選択理論心理学を基に、次のように言う。「よい水質を理解するために、マネジメントの2つの手法を対比してみましょう。悪い水質というのは外的コントロールを用いた組織風土です」。外的コントロールとは、「人間の行動は外部からの刺激に反応することで生じる」という考え方であり、これがマネジメントにおいては、「部下は上司の叱咤激励によって動くはずだ」という考え方となる。

 「たとえば、成績が芳しくない部下がいた時に上司はどんなふうに関わるでしょうか。たいていの場合、攻撃的・激しい口調で部下に感情をぶつける。もしくは口調は穏やかでも、皮肉や嫌味で責める。このような状況では、部下は委縮してしまい、ますます成果が上がりません」(青木氏)。これまでのマネジメントは、「厳しくすることは愛のムチ」という名目で、「批判する・責める・脅す・文句を言う・がみがみ言う・罰を与える・目先の褒美で釣る」といった行動で社員を動かそうとしてきた。

 「しかし外的コントロールは、短期的にはある程度の成果が上がりますが、部下にとってみれば『叱責される』という恐怖が行動の動機づけにあるので長期的に続きません。子どもが怒られて宿題をやっても一時的なのと同じです。外的コントロールでは、会社に対する帰属意識も薄れていき、人間関係は破壊され、業績も低下し、退職者も増加。何より外的コントロールを使う側も使われる側も疲弊感であふれてしまいます」(青木氏)。

 一方、外的コントロールの対極にあるものが「内的コントロール」である。青木氏は、「選択理論心理学では内的コントロールに基づいたマネジメントこそが組織の水質をよくする」と言う。内的コントロールとは、人が外側からの刺激ではなく、内側からの動機づけによって行動していくという考え方だ。この考え方に基づくマネジメントでは、上司の部下に対する行動は「傾聴する・支援する・励ます・尊敬する・信頼する・受容する・意見の違いについて交渉する」などに表れる。結果、職場からは恐れと強制がなくなり、部下は、自らの強みを生かしながら、モチベーション高く主体的に取り組んでいく状況がつくられる。結果的にパフォーマンスは向上する。