ビジネスパートナーとして
共にプロジェクトを進める

ムービンストラテジックキャリア
パートナー&マネージングディレクター
西田和雅氏

 では、企業経営者はどのような視点でコンサルティングファームと付き合えばよいのだろうか。

 一つは、会社全体あるいは事業ごとの戦略の立案や策定に対するサポート役を依頼することだ。

 「よくあるのは、経営判断をしようにも、社内に十分な知見や判断材料がなく、何が課題なのかがわかっていないケース。あるいは、仮説に基づいて社内で戦略を立案したもの、これでいいのか確信が持てないといった場合にも、コンサルティングサービスの活用は有効です」。同社パートナー&マネージングディレクターの西田和雅氏はそう語る。社内で立てた戦略とコンサルタントの分析・提案結果が同じだったとしても、たとえば20億円のプロジェクトの方向性が正しいという確信を1000万円のコンサルティングフィーで得られるのであれば、「決して高い投資ではないと思います」(西田氏)。

 二つめの視点は、オペレーションの改善だ。「社員数が十数人から数百人規模に増えたため、きちんとした人事制度を導入したい」、「ウェブを活用することで顧客企業へのプロモーションや価格設定を再構築したい」など、課題が明確化している場合は、その領域に特化したコンサルティングファームに依頼するのがいい。西田氏は「人事制度にしてもウェブシステムにしても、さまざまな選択肢がある中から、最適な仕組みを最短のスピードで導入することができる可能性が高まります」と、その効用を指摘する。

 三つめは、非コア業務のアウトソーシングである。世界規模のコンサルティングファームが、大企業のIT部門をBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)で受託する例も増えている。大企業に限らず、BPOの委託先としてコンサルティングファームを利用する企業は今後も増えていきそうである。

 そのほかにも、従業員のトレーニングのために社内プロジェクトにコンサルティングファームを参加させる例も増えている。コンサルタントと一緒に仕事をすることで、彼らの思考法やスキルを吸収させるのが目的だ。

 ある程度コンサルティングファームを絞り込むことができたら、複数社に提案を依頼するのがいいだろう。提供できるサービスやコンサルティングフィーは各社それぞれだからだ。「自社の現状や課題をヒアリングしてもらったうえで、どれくらいの予算でどんな内容のコンサルティングを行うのか提案書とともにプレゼンテーションをしてもらうのです。そうした中から、自社の課題の本質と解決の方向性が見えてくる可能性があります」と神川氏は語る。

 発注先を決め、スタートしたプロジェクトが成功するか否かは、発注側の企業とコンサルティングファームの相性や距離感によるところも大きい。まずはできるだけ社内で課題を整理してコンサルタントと共有したほうがいい。「コンサルタントに丸投げをするのではなく、ビジネスパートナーとして一緒に推進していくことが重要です」(神川氏)。

 一方、リスクヘッジも念頭に置いておくといい。特に初めて付き合うコンサルティングファームの場合には、最初から最後までまとめて発注するのではなく、ゴールまでの段階を切り分け、まずは第一フェーズから発注するのが無難だろう。

 「最初から100%思った通りの結果が出なくても、コンサルタントとうまく付き合いながら、プロジェクトを継続的に進めていくのがいいですね。経験を積むほどコンサルタントをうまく使いこなせるようになりますし、それが自社の課題をより早く発見、解決することにつながるからです」。神川氏はそう締めくくった。