3.無駄を省く

 軍人は、メールは短いほうが効果的であることを理解している。このため全文を1つのウィンドウに納め、受信者に画面をスクロールさせずに済むよう努める。そして、受動態を使うと文が長くなりやすいので、なるべく避ける。空軍のマニュアルから引用すれば、「動詞の受動態は文を長くわかりにくいものにするだけでなく、しばしば混乱を招く」のだ。

 代わりに能動態を使い、動詞よりも名詞を先に置こう。すると行動の主体が明確になる。能動態を使うことで、「動詞に仕事をさせる」(補足的な語句がいらないようにする)のだ。たとえば軍勤務者は、「工場はF18によって爆撃された」ではなく、「F18が工場を爆撃した」と言う。

 短いメールのほうが通常は効果的なのだが、長文のメールが多く目につく。それは軍でさえ例外ではない。説明を加える必要があるなら、BLUFの後に背景情報として箇条書きすべきだ。そうすれば先の例文のように、受信者はすぐにメッセージを把握できる。

 最後のポイントとして、軍勤務者は添付文書をファイルにして送るよりも、(保存先の)リンクを貼る。受信箱の容量への負担を避けるためだ。受信者は当該文書があるサイトへのアクセスを強いられるわけだが、そこには文書の最新バージョンが保存されているはずだ。加えて、そのサイトでは受信者がファイル閲覧のためのしかるべきセキュリティ証明を所持しているかが問われる。したがって、閲覧を許されていない相手に誤ってファイルを送ることもなくなる。

 以下の社用メールの例では、キーワード付きの件名、結論、背景の箇条書き、能動態を使っている。

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件名:【情報】会議の変更

シャノンへ

結論:週次の報告会議を、CFOの予定に合わせて木曜日の午後2時(米中部標準時)としました。

背景:

・他の時間帯も検討しましたが、この時間だけが可能です。あなたも電話で参加し、損益計算書について説明してください。

・CFOは、木曜日はボストンにいて、社外で経営委員会と会う予定です。

・彼は電話会議の前に、こちら(リンクを挿入)の財務報告書に目を通したいそうです。

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 米軍のメール作法を取り入れることで、文書に真の明確さがもたらされる。そして、同僚やクライアントのメールにも、同じ効果を及ぼすだろう。


HBR.ORG原文:How to Write Email with Military Precision November 22, 2016

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カビール・セガール(Kabir Sehgal)
米海軍で兵役を経て現在は予備役大尉。国防功績章を受章。以前にJPモルガンでバイスプレジデントを務め、アリババのIPOなどを支援。著書にはベストセラー『貨幣の「新」世界史』(邦訳2016年、早川書房)などがある。ジャズミュージシャンでもあり、プロデュース作で2度のグラミー賞を受賞。