過去に縛られるのではなく、
未知の変化を楽しむ

 本書では最初から最後まで、さまざまな角度から「信用」に関する問題提起がなされている。たしかにシェアリングエコノミーが発達するなかで、オンライン上でのP2Pの取引の信用をいかに担保するかは重要な課題であり、日本でもそれに関する議論が積極的に進められている。

 特に第6章では「規制」をテーマにこの問題を深く論じているが、必ずしも政府による規制に頼り続ける必要はないという主張は興味深い。筆者はその具体的対策として、「ピア規制」「自主規制機関」「データに基づく規制委任」の3つを挙げる。それぞれの詳細は本書に譲るが、データとテクノロジーの力を最大限に活かすことで、プラットフォーム企業と個々人がその主体を担う可能性はあると感じさせてくれる提言である。

 当然ながら、シェアリングエコノミーの世界観が万能ということはないだろう。実際、シェアサービスをきっかけに重大犯罪につながったようなケースもあり、常に多角的な視点からの議論がされるべきである。しかしながら、日本におけるサービス実現を阻む一因として挙げられる法規制が、過去のビジネスモデルに最適化されたものであるという側面もまた事実ではないだろうか。

 新しい何かを受け入れるときには不安も尽きないが、もはや止めることのできない時代の潮流に頑なに抗うのではなく、想像できない未知なる変化を楽しみながら、それを原動力に変える方法を考える。この本の議論を通して、そんな当たり前だが大切なことを考えずにはいられなかった。