●不慣れなことを追求する

 人は不慣れな環境に身を置く時、創造性が最も高まることが研究で示されている。ある実験結果によれば、あらゆる機器との接続が断たれた自然の中で数日過ごすと(ほとんどの人にとって不慣れで非日常的な経験だ)、創造性が50%高まったという(英語論文)。

 だが、森に数日間こもることが無理な場合は、新しい経験のための時間をどう捻出すればいいのだろう。

 テリクソン・フェルナンドはITスタートアップのハブルでクリエイティブディレクターを務めた後、現在はサトバ(オーガニック飲料メーカー)で同じ役職に就いている。彼が心がけているのは、日々の活動に「観察」を取り入れることだ。「全宇宙がアイデアで満たされていて、私が創造しようとしているものも、その中にあります。ですから、私は日常生活からヒントを得ています。身の回りの些細な物事1つひとつを観察して、how、why、whatを探求するのです」

 上記の方法が十分でなければ、グーグルのグローバルCCO(最高クリエイティブ責任者)ラース・バスソルムの助言がある。

「企画書の作成に行き詰まっているクリエイティブスタッフがいたら、『雑誌売り場に行って、普段なら絶対に買わない雑誌を3冊買え』と指示したものです。『月間 歯科矯正医』とか、『モンスタートラックの世界』とか。それを最初から最後まで読み通して、対象読者を念頭に置きながら、奮闘中の企画書を見直してみるよう助言していました。この作業は通常、ものすごく面白いばかりでなく、新しい思考回路が開くきっかけになり、自分の企画に応用できます」

 セールスフォース・ドットコムの暫定CMOサイモン・マルケイは、「双眼鏡の向きを180度変える」訓練を推奨する。顧客ロイヤルティの向上に努める銀行であれば、まったく異なる業界、たとえばスターバックスに目を向け、何が顧客をリピーターにしているのかを問うのだ。

●多様な人々からフィードバックを得る

 多様性のあるグループのほうが創造的であることを示す研究報告は、かなりの数に上る(ただし、それを否定する研究もあるが)。私が話を聞いたリーダーはいずれも、バックグラウンドや考え方が異なる人材を集めるよう努めている。のみならず、異業界の人に自身のアイデアを話すことにも時間を割いている。

 へレオ(Heleo:第一級の専門家・思想家の知見をシェアするプラットフォーム)のCEO兼創設者で連続起業家のルーファス・グリスコムは、こう表現する。「アイデアは人に似ています。つまり、隔離や警戒をされたくない。他のアイデアと一緒になって、交流したいのです」

「私もかつては、多くの若い起業家たちのように、こう心配したものです。新しいビジネスのアイデアを広く共有しすぎれば、誰かにそれを実行されて、自分が機会を逃すのでは、と。いまでは、有望なアイデアがある時、聡明な人に出会うたびに、相手がアイデアに少しでも関心を示したら、内容をそっくりそのまま伝えます。その結果、人を紹介されたり新しい情報をもらえたりして、アイデアが実際のビジネスに変わる可能性が増すのです」

 加えて、IT企業リバーベッドのシニア・バイスプレジデント兼最高戦略責任者、フィル・ハリスは重要な点を指摘する。組織内でそうしたフィードバックには本気で耳を傾けることが、フィードバックを求めることと同様に重要だ。

「我々が1つの部屋にいる時には、肩書きや階級、年齢は一切関係ありません。すべての意見が同じ重みを持ち、全員に均等な時間があります。自分の意見に耳が傾けられること、意見を言うための時間が必ず与えられることを、誰もがわかっています。全員が信頼と正直さに基づく関係にあるのです。ただし、この正直さは必ずしも、耳に心地よいものだけではありません」