小売業者にとって、もっと優れた方法はあるだろうか。筆者らはあると考えている。

 以下、寛大な条件を選択的に設けることで、購入を刺激しつつ返品を減らすための、6つの戦略を紹介しよう。

●返品の理由によって寛大度を変える
 たとえばGAPは、返品期間を45日に限定しているが、不良品については無期限で返品を受け付けている。

●経過期間によって寛大度を変える
 高級百貨店チェーンのニーマン・マーカスは、購入から59日以内の返品には全額返金、60~120日の場合は75%の返金、といった制約を設けている。

●安価な製品について、品質に問題がないことを強調したい場合は、より寛大な条件を設ける
 プライベートブランド製品については、「倍額返金」などを提供することで品質イメージを向上できるかもしれない。寛大な返品条件は、購入リスクへの認識を和らげるだけでなく、品質を強調するシグナルにもなるからだ。

●顧客の重要度によって寛大度を変える
 ホールセールチェーンのサムズ・クラブは、非会員の返品にはレシートの提出を求めている(手順面の制約)が、会員には求めていない。

●返品の受け付け開始時期を遅く設定し、その間に「授かり効果」を生じさせる
 製品の試用期間を設けることで、買い手の後悔(購入後に「買わなければよかった」と思う気持ち)を緩和できる。製品への所有意識、つまり授かり効果(自分が所有しているものの価値を、所有していない場合よりも高く評価する現象)は、所有期間が長いほど強くなるからだ。

 たとえば、購入直後の15日間は返品を受け付けず、その後の15日間を返品期間にするなどが考えられる。家具・家電量販チェーンのRCウィリーは、マットレスを購入した顧客に対し、納品日から最長100日の間に1回のみ別の製品に交換できるようにしている。ただし、購入後30日の試用期間が過ぎてから、というのが条件だ。

●贈呈に使われた製品は、返品条件を厳しくする
 アパレル小売チェーンのバーリントン・コート・ファクトリーは、返品者が購入者でない場合はポイントで返金し、購入者本人による返品には現金で応じている。

 以上に挙げた特定の方法だけでなく、返品制度は「需要の刺激」と「返品の制限」の間でバランスを取る手段とすべきだろう。そして、返品条件には数々の選択肢があるということを知っておくとよい。適切な返品条件のあり方は、個々の小売業者によって、またその目的によって変わるのである。


HBR.ORG原文:How to Design a Return Policy September 09, 2016

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ナラヤン・ジャナキラマン(Narayan Janakiraman)
テキサス大学アーリントン校マーケティング学部の助教。主な研究分野は小売業、消費者心理、向社会的行動。

ホリー・サーダル(Holly Syrdal)
サザンミシシッピ大学マーケティング&マーチャンダイジング学部の助教。テキサス大学アーリントン校の博士課程履修生。主な研究分野は小売業、ソーシャルメディア・マーケティング。

ライアン・E・フリリング(Ryan E. Freling)
テキサス大学ダラス校ジンダル・スクール・オブ・マネジメントの博士課程履修生。主な研究分野はメッセージフレーミング、メタ分析の方法論。