1.米国、西欧、北東アジアの60歳以上の高齢層

 その数は、2030年には、いまより3分の1以上増えて2億2200万人に達するだろう。そして今後の15年間で、世界の消費成長の3分の1以上が彼らによって生じる。これに比べると、たとえば欧州のミレニアル世代の寄与率は2%未満だ。マーケターは若者へのアピールを重視するかもしれないが、成長を追求する企業にとって本当に魅力的な市場は、高齢層である。

 その圧倒的な存在感を示す数字がある。60歳以上の層は、西欧と北東アジア(日本と韓国)の都市部において、消費成長の60%を占めることになるという数字だ。当然ながら医療支出が大きいが、それだけではない。米国でのこの消費者層は、住宅、交通、娯楽における消費成長の40%以上に貢献するだろう。10年前、米国の住宅リフォームへの支出総額に55歳以上が占める割合は3分の1以下であった。それが、2011年には45%以上に達している。

 どの業界の企業にとっても(これまで高齢者とは関係なかった企業も含めて)、この市場を優先していく必要がこれまでになく高まっているのだ。

2.中国の就業年齢層(15~59歳)

 その数は今後のわずか15年間で20%、すなわち1億人増える見込みで、さらに1人当たり消費額は2倍になると思われる。2030年には、世界中の都市における1ドルの支出のうち12セントを彼らが占める計算になるのだ。この層は以前の世代に比べ、将来の金銭面について楽観的で、可処分所得における支出意向の割合も大きい。

 2016年のマッキンゼー・グローバル・センチメント・サーベイでは、2万2000人以上の消費者のマインドを調査した。そこでは中国の就業年齢層の約30%が、新しくて革新的な家庭用製品への支出を増やしたいと答えている。これは北米や西欧における同じ層の2倍である。

 中国のこの消費者層は、欧米のベビーブーマー世代の後継者といえる。ベビーブーマーは全盛当時、歴史上最も豊かな人々であった。

3.北米の就業年齢層

 彼らはすでに大きな市場を形成している。今後も、人数と1人当たり支出額は緩やかな成長を続けるはずだ。ただし彼らは、企業にとっては新たな課題にもなっている。格差が拡大し、多くの人の収入はますます圧迫されているからだ(不景気の余波、学生ローンの負債など)。今日すでに、ヤングアダルト(18~35歳)世帯における上位20%の純資産額の中央値は、残り80%の世帯の8倍に達している。少し前の2000年には4倍に留まっていたのだが。

 つまり企業に求められるのは、さまざまに異なる価格の製品・サービスを提供するよう努めることだ。ヤングアダルト層は、住宅や車、家具に至るまで、共有型のサービス(シェアリング・エコノミー)を検討・利用する割合が、上の年齢層より10~20%ポイント高い。このように、同じ就業年齢層の中でも行動パターンが分かれるため、それぞれに合わせた新たな戦略が必要となる。

 重要な消費者市場がこれほど多様かつ複雑であったことは、過去にないようである。

 まずは、広がりゆく格差という課題がある。もう1つの課題は、人口増の鈍化とともに、都市の人口動態(ひいては成長可能性)が多様化していくことだ。

 企業は適切な場所を選ぶ必要がある。今後15年間、世界の消費成長の91%は都市部で生じる。最も購買力のある消費者を抱える都市はどこか、さらには都市内のどの区域なのか、それを知ることがカギになるだろう。


HBR.ORG原文:Emerging Demographics Are the New Emerging Markets July 13, 2016

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リチャード・ドブズ(Richard Dobbs)
マッキンゼー・アンド・カンパニー ロンドンオフィスのシニアパートナー。

ヤーナ・レメス(Jaana Remes)
マッキンゼー・グローバル・インスティテュートのパートナー。

ジョナサン・ウォツェル(Jonathan Woetzel)
マッキンゼー・グローバル・インスティテュートのディレクター。